守り人2

 長女キキリリはぐるぐると目を動かしながら巨大なビル群の真っただ中で突っ立っていた

「ふわ~、なんと大きな建物なの。クンクン、ここは空気が悪いの。ここにはいないみたいだの・・・。主様どこに行ってしまったんですの」

 彼女たちが以前目覚めていたころはメルカはまだ封印されており、メルカの母親を守っていた

 多くの世界を滅ぼそうとした異放者

 彼との戦いは熾烈を極め多くの力あるものが散って行った

 メルカの母親もそうだ

 全ての世界を創り出したメルカの母と全ての世界を壊そうとした異放者

 

「はぁ、主様に会いたいの」

 ため息をついて落ち込んでいるところを後ろから声をかけられた

「ぶ、ふふ、お、お嬢ちゃんどうしたの? 迷子かい?」

 ぼよぼよに太ったいかにも危なそうな男

「探し人をしているの、メルカという名前に心当たりはないの?」

「うーん、おじさんその名前には心当たりはないなぁ。そこに交番があるから聞いてみるといいよ」

 見た目はともかく普通にいい人であった

 キキリリは言われた通りに直ぐ近くにあった交番に入るとメルカについて尋ねてみた

「お嬢ちゃんどうしたんだい? 迷子かな?」

「違うの、人を探しているの」


「なるほど、メルカさんという女性を探しているんだね?」

「はい! 私達の主様なの!」

「主様?」

「仕えるべき人ですの!」

「それじゃあ君はメイド?か何かなのかな?」

「違うの、キキリリは守り人なの!」

 派出所勤務の一警官ではよくわからず、何人かの警官に聞かれたうえに彼女は保護対象として派出所にしばらく置いておかれることになった

「うう、すぐ探しに行きたいのに・・・。勝手に逃げたら警官さんたちが困っちゃうの」

 優しい性格の長女キキリリ

 そのためこの場から動けなくなってしまった

「うーん困った、一体どこの子なんだ? 名前も登録されてないし、海外の子っぽいけど」

「キキリリはキキリリですの! 世界を渡り歩いて主様を脅かす敵を討ち果たす者ですの!」

 始終この調子で要領を得ず、警官たちも困り果てていた

 何せ保護者を呼ぼうにも連絡先もわからない

 どうしたものかと困っているところに派出所の部長が戻ってきた

 

「そうか、お嬢ちゃん一旦うちに来るか?」

「いいの? 行くの!」

 ひとまず部長がキキリリを引き取る形で話がついた

 キキリリもこの世界での情報収集をしたいため願ったりかなったりであった

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