逸脱した女神7

(いやぁ彼女も大変そうだね? あっちについてサポートしてた方がよかったかな?)

(確かに全ての世界を同時に見たり、同時に存在できるあんたならできるでしょうけど、あんたそれでいいの?)

(僕はもう一人じゃ存在できないからね。実を言うと他に移るってのも難しい。要は君から離れればそのまま消滅する煙のような生命体になってしまったってことさ)

(はぁ、分かったわよ、中にいていいから、たまには力を貸しなさいよね)

(いや貸しなさいもなにも全部渡しちゃったから話すくらいしかできないんだけど・・・)

 まぁこいつはもう害はなさそうね

 それに、こいつだって何もむやみやたらに世界を壊したかったわけじゃない

 彼は全ての世界を作った何かから生まれた

 種を蒔く者とも言われる彼らはたくさんの世界を作る過程で必ずその管理者となる者を作り出す

 それの一人がこの異放者だった

 異放者とは世界の外から来る者のことだけど、あの時の戦いで世界の外から来た黒幕だったから異放者と呼ばれてるだけ

 本当の名前は誰も知らない

(ねぇあんた名前って)

(おっとそれは教えないよ。僕が父と母からもらったものだからね。そう簡単に教えない)

(だって異放者って呼びにくいじゃない)

(それもそうだ。じゃあ君に取り憑いてるからツキとでも呼んでよ)

(安直)

 安直だけどこれなら呼びやすいわ

 

 脳内会話を終えてから新しく来た世界を見渡してみる

 すぐに舗装された道が見えるってことは結構発展した世界なのかも

 なにせアスファルトで舗装されてるもの

「これはすごい、石で舗装するとは相当豊かな国に違いないですね女神様」

 ラエトリア君が興奮している

「まぁ豊かっちゃ豊なんでしょうけど、私やこの二人にとっては見慣れた風景なんじゃない?」

「なんとこのような光景を見慣れていると? よほどの生まれなのですか?」

「違うわよ。私達はあなたの世界より技術が進んだ世界を知っているからよ」

「技術・・・。技術でこのようなことが・・・」

 驚きすぎてただただ感心するラエトリア君

 顔がイケメンなのに間抜けに口を開けてる

 それでも女性たちからすればうっとりするような表情かもね

「とりあえず関心するのはあとよラエトリア君」

 アスファルトに頬ずりしそうな勢いだったため慌てて止めてからゆっくりと歩き出した

 道には時々車も走ってて、その度にラエトリア君が驚いてるのが何だか可愛い

 ちなみに車の通る車道と人が歩く歩道がちゃんと分かれてたわ

 なんなら歩道に人も歩いてる

 三天とも翼をしまってるし、ラナとソラは二人とも人間に見えるから問題なさそう

 それに、格好も一応この世界に合わせてみたのよね

 実はさっき歩行者にじろじろ見られてたから着替えたの

 服はもちろん私が空間収納に入れてたやつね

 何かあった時のためにいろんなサイズに男性用女性用と分けてるからすぐ着替えが用意できた

 さすが私、用意周到


 街はすぐそこだった

 というよりここ街道でもなんでもなくて、ただ家々が途絶えたところだったみたい

 要はもう街の中だったってこと

 恐らくラエトリア君じゃ考えられないくらいの広い広い街だと思う

「あ、あ、あ」

 もはや言葉も失ってるし・・・

 そりゃとんでもない高さの高層ビル群なんて見たら目も口も裂けそうなほど見開くわね

 それに飛行機や大型トラック、自動ドアやヒーローにも驚いて・・・

 ヒーロー!?

 嘘、ヒーローがいる世界ってここもしかして

 私は探知を最大にして探してみた、彼を

「いた!」

 すぐに見つけた私は全員を連れてその人の元へ転移した

 え? 街中で転移して大丈夫かって?

 大丈夫なのよこの世界なら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る