世界に選ばれし者たち7
王宮はまさしく砂漠の王宮というにふさわしい出で立ちで、どこかタージマハルを思わせる真っ白な美しい宮殿
そこにはオアシスもあるようで水の匂いが漂ってきていた
いくら涼しい風のなか歩いていたとはいえかなりの距離を歩いてきた一向
当然体力的にも限界で、喉もカラカラだった
「ここで少し休ませてもらおう。水くらいはくれるでしょ」
街の様子を見るに水遊びができるほどに潤っているようだ
ここに住む人々はただの人間のようで、平和に暮らしているように見える
「ようこそタジアーラル王国へ」
にこやかに挨拶してくれる国の兵らしき男性
兵とは言っても武装は最小限で、他に侵略する国や危険がないかのような風体だ
「別の国からですか? となるとこちらの方向と言うことはオボルの国ですかね?」
「ええ、そんなところよ」
「大変だったでしょう? 国同士国交は結んでいるとはいえ遠いですもんね」
兵士は一人に一杯の水を配ってくれる
全員ありがたく頂戴して飲み干した
「それにしてもあなた達、軽装ですね? 荷物はともかく、水はおろか食料も見当たらないのですが」
まずいと全員が思った
特に異世界から来たことがばれても問題はないかもしれないが、できうる限り大事にはされたくなかった
「あ、なるほど、マジックアイテムですね?」
「え、ええそうよ、ほら」
マジックアイテムの概念はこの世界にもあったようで一様にほっとする
そのまま実際に持っている収納空間から食料を取り出して見せた
ただ水のストックは本当にきれていたためここで補充するしかないが・・・
「なるほど珍しい。いえね、私こういったマジックアイテムを見るのは初めてでして。世界から魔物の脅威がなくなってからもう五十年は経ちますものねぇ」
一応知っている体を装ってみるが、情報収集がてら彼に色々話を聞けた
この世界は五十年ほど前まで数多の魔物の脅威に怯える世界だったらしい
人々は街から出れないほど世界は魔物に埋め尽くされており、この国もそのため壁が高く築かれていた
しかしその五十年前のこと、三人の勇者が立ち上がり、魔物の元となっていた瘴王という魔物の王を倒す旅に出た
長く険しい旅の果てに彼らはついに瘴王を倒し、やがて徐々に魔物が減っていき、この世界から魔物は全て根絶されたそうだ
ちなみに家畜など普通の動物はいるらしい
「それではよい観光を」
色々と情報も聞けた
この世界に現在全くと言っていいほど脅威はなく、砂漠がほとんどを占める世界のため領土をめぐっての争いもない
国同士の関係も良好とのこと
食料問題もオアシス付近に造られている国ばかりなので自給自足がちゃんと成り立つようだ
そしてこの国はそんな国々の中では小国で、オアシスを含んだ数キロ四方ほどの領土しか持たない
しかしながらオアシスが非常に大きいため成り立っているらしい
「それにしても水が豊かな国だな。おいエーテ、直飲みは流石にだめだろ」
「でもほら、あそこの子供達はやっているねぇ」
「そりゃ子供はそうでしょう」
水から引きはがされあーんと声をあげるエーテ
「いやでもうまかったよ。よく冷えてる。恐らく地下水が豊富なんだと思うよぉ」
エーテの言う通り地下から湧き上がっているここの水
砂漠地帯ながら雨はちゃんと降るようで、その雨がしみ込んで地下に溜まり湧きだしているのだ
水辺を離れて街を散策することにした一向
二手に分かれて行動を始めた
エーテ、アーキア、りえが同じチーム、残るレノンナ、アモン、ライナが同じチームだ
「何で私がこいつと一緒なのよ!」
レノンナがライナがいることに激昂していたが、じゃんけんで決めたことなので覆ることはなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます