逸脱した女神5

 バカンスを終えた私達

 最終的にはラエトリア君も楽しんでたからよかったわ

 休むって案外大事だからねぇ

「じゃあ次の世界に行くわよ。てか私の強化された探知でもウルの本拠地を掴めないってどんな隠蔽されてるのよ」

 異放者はどの世界だろうと私達を探知出来てたって言うし、それが本当ならウルの本拠地もつかめるはずと思ったんだけど、異放者が言うにはどうにも隠蔽してる力が強すぎて靄がかかってるかのように見えないみたい

 取りあえずは他の世界を回ってウルの幹部でも見つけて、そこから情報収集をすればいいかな

 まぁ情報を持ってるかもわからないし、転移装置にしてもあいつらから奪ったとたんに壊れちゃうんだもん。巧妙に本拠地にたどり着けないように細工されてるわ

 私は次元の扉を開いてそこへ入る

 すると今回は次元の狭間にある道へと繋がってしまった

 この狭間の回廊という世界は、知っている人なら簡単に開いて行くことができるんだけど、普段は絶対に開かない

 そしてここにはワタシとお姉ちゃん共通の友人が住んでる

「あなた達ここは初めてだったわね。案内するからついていらっしゃい」

 三天やラナ、ソラを連れてずんずんと先を進み始めた

「あの女神様、かなり不気味なところなんですが大丈夫なのですか? このようなところに住むというのは化け物と相場が決まっていますが?」

 リィリアちゃんの偏った考えねこれは

「大丈夫よ、私の友人よ? かなり変わってるけどいい子よ」

 安心させようとしたんだけれど、変わってるって言ったら黙っちゃった

 余計なことを言ったかも

 まあ会えば絶対好きになるから大丈夫だと思うけど

 それにここにはその友人意外に護衛の二人、さらには闇人という住人までいる

 みんな友好的だから私達が突然来ても歓迎してくれるはずよ


 狭間の世界は何度も来てるから庭みたいなもので、友人がいる一角にはすぐに来ることができた

 そして驚く仲間

 この世界もかなり発展してきたわね

 住人である闇人達の手によってすっかり街が出来上がってた

 まあ現代的な街は無理だけど、中世のそこそこ大きな街くらいには発展してるわ

 どの建物も真っ黒って言うのが少し奇妙だけど、それはこの世界にない植物を闇人達の力で育ててるから仕方ないことなのよね

「ルニア様ではありませんか! ようこそおいでくださいました」

「ミヤ、久しぶりね」

 この世界の闇人の一人であるミヤ

 他に私の知ってる闇人にクウダ、アシキって言う子がいるけど、その二人は今別世界で野菜を仕入れてるところみたい

 全くここはいつも平和ね

「それで今日はどのようなご用事で? あ、パリケル様でしょうか?」

「まぁ用事ってほどじゃないんだけど、たまたまつながったからちょっと会ってこうかなって。それにこの子達も紹介したいし」

「かしこまりました。では主にお伝えしてきます」

 パリケルは昔私やお姉ちゃんと世界を旅した少女で、もともとはおじいさんだったけど、アカシックレコードに選ばれたためにふさわしい姿に変えられたんだとか

 本人はまったく気にしていないらしい

 それよりもアカシックレコードによって世界を知ることができたのが嬉しいみたいね

 でも完全にアカシックレコードと同化してからはこの世界から動けなくなった

 世界の管理を役目としてずっとこの場に縛られてる

 彼女自身は疲れないし、心も壊れない

 それがアカシックレコードと同化するってことなんだけど、それも悲しい

 だから闇人達にはできるだけ彼女のケアをしてもらうようお願いしてるのよね

「戻りました。こちらへ」

 ミヤの後をついて久しぶりに来るパリケルの住処

 中からはパリケルの大きな独り言が聞こえる

「うほぅ、ありゃりゃりゃ、ふむふむなんとも・・・。こいつは許せないな、天中さね。おおそこにいるは俺様の大友人ルニアだな!」

 まだ扉も開けていないのに中から私を呼ぶ声がする

「やっぱり、全部見てるわよね」

 入ってもいいという声がしたから私達は連れ立ってその部屋へと入ったわ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る