利善とレイドの異世界旅10
一方のレイドはと言うと、帰ってからは救ってきた子供達のメンタルケアに勤めていた
あの世界では様々な子供達が囚われていたようで、それぞれ親を殺されたり、突然攫われたりして連れ去られて来た子達ばかり
幼い子もいるため、この世界にいる女性たちが一手に子供達を引き取ったのだ
子供達は全員がやはり能力者で、恐らく拠点にいったん集められてから本拠地へと移送されて、そこで改造なり洗脳なりされる予定だったのだろう
子供達の数は数百人単位であるため、育児に慣れた男性女性総出で面倒を見ることになった
「こうしてると昔小さかった弟をあやしていた時のことを思い出します」
レイドの弟も現在ウルによって人質となっている
幸い潜入しているディスの話によると、特にひどい目に合うこともないようで、ただ助け出そうにも警備が厳しすぎて目を盗めない
たくさんの子供達でも安心して暮らせる施設があるこの世界では、常時何百人もの子育てサポーターたちもいる
彼らの元居た世界が分かり、親が見つかった暁にはちゃんと送り返される予定である
ただ中にはやはり親を殺されて連れ去られたり、世界を滅ぼされた子供もいる。そのためのメンタルケアだった
希望者にはウルから身を守るための戦闘方法も教える予定である
ウルの拠点壊滅から数週間が経った
ようやく落ち着いてきた子供達に安心したレイド。そんな矢先に新しく拠点を抑えたとの情報が入った
ウルの拠点は本拠地と同じくかなり巧妙に隠されているのだが、様々な世界に協力者がいるため、ようやく見つけれると言ったところだ
そんな彼らからもたらされた有益な情報
エドラブラハという太陽のない世界にそのウルの拠点があるそうだ
そこを納めるのは大幹部ダートという名の何か
何かと呼称されるのは、その姿を誰も見たことがないからだ
何せ太陽を嫌い、暗闇に潜み続け、漆黒よりも暗い色のローブをいつもかぶっている
さらに臭いが酷いらしく、名前もわからないことからダート(汚い)という名をつけられたらしい
彼または彼女は話すこともなく、意思表示はできない
ただそこにいる、いやあるという得体の知れなさ
ウルのメンバーですらダートに会うことははばかられるようだ
「さてまたしても出番ってわけだが、今回は構成を変えさせてもらう」
モーリスはレイドと利善の二人にそう言うと後ろに控えていた仲間を呼んだ
「初めまして! あたくしはアインドーバ! 世界一のダンサーにしてドラァアアグクイィイイインですのよ!」
かなり濃ゆい大柄のドラッグクイーンアインドーバ。彼は闇に覆われているエドラブラの世界ならばかなりの活躍が期待される能力を持っている
そしてその後ろからひょっこりと顔を出したのは
「クルル師匠!」
「そうなのだよっぽ利善君! このクルさんが力を貸すってことはもう攻略したも同然なのっぽ!」
テンションの高い二人がついてくることとなり、おとなしいレイドは若干引いていた
ただ二人ともかなり優しく気の利く性格であることはすぐに分かった
「そう言うわけで、君たち四人にはすでに先行している部隊と合流してもらう。特に利善にレイドちゃん、君たちは始めからの攻略になる。相手にどれほどの戦力があるかはまったくわからない。重々気を付けて欲しい」
「「はい!」」
「任せて二人とも、あたくしが守ってあげるから」
筋骨隆々のたくましさに大人な女性の安心感
それだけでも頼もしい上に、利善の師匠となったクルルまでもいる
二人はこの攻略に自信をもって向かうことになった
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