神と白黒鬼神10

 さっそく全員でテレポートと転移を開始し、和風都市エニシダへとやってきた

 復興が終わったばかりであるにも関わらずすでに建物がいくつか破壊されていた

 その破壊の中心には虎のような化け物がいて、周囲のがれきを体近くにファンネルのように漂わせ、まだ健在の建物にぶつけている

 目は赤く光り、ところどころ攻撃されたのか血がにじんでいる

「この! よくも街を!」

 そんな声が聞こえて上を見ると、ひとりの鬼がいた

 鬼は美しく、真っ白な髪をたなびかせて虎と戦っている

「あれは、ハクラちゃんだ!」

 この世界のハクラちゃん、鬼になった姿は増々うちのハクラちゃんとそっくりだ

 ただ今うちのハクラちゃんは小さな子供の姿で、あっちは大人の姿って違いはあるけどね

 他にも違いはいろいろある

 まず常に一緒にいるクロハさんがいない。アナザーちゃんは一人っ子らしい

 それから胸がある!

 ここが一番の違いだね。胸が大きいんだ。クロハさんくらい

「ハクラちゃん! 援護にきたよ!」

「詩季ちゃん! ありがたいわ!」

 アナザーちゃんがこっちを見るとその目を大きく見開いた

 どうやらうちのハクラちゃんを見つけたらしい

「え、嘘、昔の私がいる」

「おお、大人な私ですよリディエラちゃん! すっごく大きくなってますね! と言うことは私も」

「いやハクラちゃんの大人な姿、小さかった気が・・・」

「それは言わないでくださいよ!」

 アナザーちゃんを見つけてクロハさんは一瞬でアナザーちゃんの背後を取った

 そしてそのままがっしりと抱きしめる

「な! 何ですかこの人は! 放しなさい!」

「はっ、ごめんなさいつい。可愛いハクラがもう一人いると思って」

「何なのこの人は! 詩季ちゃん!」

「その人は異世界のハクラちゃんの双子のお姉さんだよ。ハクラちゃんのこと大好きなんだって」

「た、確かにこの漂う姉味感・・・。いやそうではなく! 敵! 敵が暴れてるの!」

 すでに住人の避難は済んではいるらしいけど、これ以上壊させるわけにもいかないもんね

「じゃ、私と一緒にやりましょう! 異世界の私!」

「ええ、それは面白そうね、異世界の私!」

 さすが同じハクラちゃん同士、すぐに打ち解けて虎の方へ飛んでいった

 飛んでいったとは言ってもジャンプしてかけて行っただけだけどね

 そのまま虎の顔面を二人で思いっきり殴り飛ばしてすぐに刀を抜いた

 なんとアナザーちゃんまでもが刀を持っていたみたいで、二人で吹っ飛んでいく虎の頭に刀を振り落とした

「「鬼剣術簡易式! 二つ柱!!」」

 すぱっと虎の首が落ちてその活動を止めた

 凄く息ぴったり。思想まで一緒なのか必殺技の名前まで合わせてるし

 ともかく街で暴れ回っていた虎の化け物は倒せたんだけど、こんな化け物は戦争以来確認されていなかったんだとか

 どうやらウルの仕業だろうってことでサニアさんが周囲を調べ始めた

「うーん、どうやらこの辺りにはいないみたいです」

「ふむ、この虎の死体、ちょいと調べてみたんだけどさ。やっぱおかしいんだよね」

 いつの間にか詩季さんがナンバー4のハルナさんに代わっていた

 彼女は死体を調べながら何やら装置を取り出してサンプリングしている

「この世界の動物には確かに超能力を使えるやつもいる。さらに戦争の時も改造された化け物なんかもいるけどさ、こいつは最初からこの大きさ、この強い力、つまり天然の化け物なんだよね。明らかにこの世界のものじゃない」

 詩季さんの的確な見解によってますますこいつを解き放った誰かがいるってことが分かった

 サニアさんでも見つけれないから十中八九ウルだろうね

「ま、こいつからサンプリングできたからさ、またこれ使って見つけるだけなんだけどね」

 おお、詩季さん頼もしい

 装置に死体から採取した毛を入れるとまたその装置を作動させてウルを探し始めた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る