神と白黒鬼神9
レッドちゃんの話を聞いてみるにどうやらこの子はウルに作り出された人造生命体らしい
まさか命を作り出せるまでの力があるとは思わなかったけど、とにかくこの子はレッドという名前を持った人造生命体・・・
赤の一号、それがレッドちゃんの本名だ
「私達はたくさんいて、レッドシリーズの成功例は私だけなの。その後に生まれたブルー、グリーン、イエローはそれぞれ二人ずつで、私と同じようにいろんな世界に行ってるよ。でね、ブラックとホワイトはね、心がないの」
「心がない?」
「うん、私達カラーシリーズは出来損ないなんだって。だからね、いつでも切り捨てられて殺されるんだよ。だから私ももうすぐ死ぬの」
ニコニコと嬉しそうにそんなことを言うレッドちゃんを僕は抱きしめた
クロハさんの顔がみるみる恐ろしい形相になっていって、ドロドロとした呪力が漏れ出しそれが霊のような形まで取り始めてる
こっわ・・・
「許せませんね、こんないたいけな子供達を・・・。リディエラ様、ウルは壊滅させましょう。こんな非道な、こんなことはすぐ辞めさせるべきです」
もちろんそれには賛成だけど、この子が行ってるもうすぐ死ぬって言うのはもしかして
「サニアさん、レッドちゃんの頭を見てもらうことってできますか?」
「透視の力ならできると思うわ」
サニアさんの力でレッドちゃんの頭を見るとやはりその脳内には小型の爆弾が
しかももう点滅が始まっていて今にも爆発しそうらしい
「これ、まずいわ。半径数キロが消え去るほどのエネルギーがある」
サニアさんはすぐにレッドちゃんの頭に手を翳すとその爆弾を一瞬で取り出した
「みんな伏せて!」
爆弾をはるか上空へと投げるサニアさん
その直後に爆発が起こって地響きが鳴り響き、大気が震えた
今までの小型爆弾は脳を破壊するだけだったけど、これは明らかに周囲にまで被害を及ぼすようにできてる
つまり彼女たち人造生命体は使い捨てられるために様々な世界に送られてるってことだ
それじゃあこの子の兄弟姉妹たちはどうなるの?
「みんな自分に誇りをもって死んでるよ。ウル様の役に立つことが私達の生きる意味なんだもん」
笑ってる。傷だらけの体で彼女は本当に嬉しそうに笑ってるんだ
きっと幸せが何なのかを、本当の幸せを知らずに生きてきたからだ
クロハさんは悲しそうにレッドちゃんを抱え上げると抱きしめた
「幸せはそれだけではないのですよ。これから一緒に知っていきましょうレッドちゃん」
優しい顔、クロハさんは本当に子供好きなんだなぁ
ひとまずこの世界でのウルの事件は片付いたのかな?と思ったんだけどまだみたいだ
詩季さんの小型端末に突然連絡が入った
なんでも超能力を使い暴れ回る気が狂ったかのような虎のような化け物が現れたらしい
場所はなんとこの世界のハクラちゃんがいるというエニシダという街
もともとのエニシダはかつての戦争で跡形もなくなくなったけど、今はこの世界のハクラちゃんが復興してるおかげでかなり大きな街に発展してきてるらしい
いずれはこの世界のハクラちゃん(まどろっこしいからアナザーハクラちゃん、アナザーちゃんとでも呼ぶか)がその街のリーダーとなることが決まってるんだって
これからそこに向かう
超能力によるテレポートならすぐだし、僕らも転移が使える
まずは詩季さんがその街に行って、僕らが詩季さんの気配を辿ってそこに行けばいいんだ
と言うわけでこれから暴れてるらしい化け物退治だね
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