勇者の成長5
「あっという間に浄化してしまった手腕! さすがです神様! それにアイシスもすごくカッコよかった」
かえって来るなりキーラはまくし立てるように話し始めた
神々の降臨とその偉業、そして親友のすごさに感動したようだ
「私も、アイシスや神様みたいになれるかな?」
「ふむ、君はサニアの直系の子孫だからね。彼女の神力が受け継がれていると考えていい、ふんぬぅ」
決めポーズを見てもキーラはキラキラとした目をしている
「よし決めた! アイシス! 私アルケイン様みたいなムキムキになって強くなりたい!」
「「「それは駄目!!」」」
その夢は女神二柱とアイシスに全力で止められた
「え、なんで?」
「筋肉はいらないってキーラ。この神様のは趣味! さっきの力も全然筋肉使ってなかっただろう」
「そうそう、こんなのに憧れたらカワイイのに台無し!」
「ホントにもう、憧れるならわたくしにしなさいな」
「でも筋肉、かっこいいのに・・・」
「フハハハ、この良さが分かるとは流石だぞ少女よ! うむ、さすれば私が直々に鍛えてあげよう。だが筋肉は駄目だ。君の場合筋力をつけると余計に動きが悪くなってしまうよ。だがそうだな、魔族が浄化の力を使えるというのは素晴らしい。ぜひ私の弟子になってほしい」
「本当ですか!?」
「うむ!」
キーラはこれでなんと神の弟子になることが決まった
そのため神界に帰る女神二柱と別れ、アルケインは精霊の国に残ることにしたようだ
瘴気を消した数日後にはキーラはアルケインに力の使い方を習い始めた
そのためアイシスの見守りはできなくなったが、リドリリが見守るということで落ち着いたようだ
そしてキーラがアルケインに指示したその日も夜のこと、アイシスは再び夢を見た
その夢では金色の猫が数匹毛づくろいをしている
非常に可愛らしい猫たちで、アイシスにすり寄って来た
「おお、おお、可愛い!」
すぐにアイシスは猫たちを愛で始めた
するといつの間にか頭の上が重くなっていることに気づく
見上げると猫耳の少女が眠そうな目で微笑んでいた
「よっす、んにゃ、この超絶美麗猫ちゃんのニャコ様が来てやったからにはもう安心、暮らしの安全守る招き猫、最強の猫、おいらこそが猫界の頂点であるのにゃ!」
頭の上でぴょんぴょこ跳ねながら盛大な自己紹介をするニャコ
アイシスはそんな猫神ニャコを頭から降ろして抱き上げた
「ニャコ様、ですか?」
「んにゃ、おいらこそが猫神にゃこであるにゃ。ワコの力は受け取ったみたいだにゃ。でもまあおいらの力に比べたらあいつの力なんて大したことないにゃ」
「その力とはどういうものなのですか?」
ニャコの耳裏を指でコシコシとさすってあげるとニャコは嬉しそうに目を細めてそのまま説明を続ける
さすが猫だけあって喉を鳴らしながらだ
「ゴロゴロ、うーんそこそこ、なかなかわかってるにゃ大勇者。ではおいらの力の説明をするにゃ」
アイシスはごくりと生唾を飲み込んで聞いた
「おいらの力はフリースペースなのにゃ」
「フリースペース? それは一体どんなちからなのですか!?」
目を輝かせてニャコをガクガクと振るとニャコは目を回した
「うう、激しいのはお嫌いなのにゃ」
「す、すみません!」
「いいのにゃ、おいらは寛大だからにゃ。で、おいらの力を教えるにゃ。このフリースペースでは何でもできるにゃ。いやまあ攻撃には使えないにゃけど、ここでは休憩遊び、なんでもござれだにゃ。やりたいようにできるのにゃ。そしてその中では時間が経たないにゃ」
「時間が経たない?」
「そうにゃ、いくらでも休めるし、歳も取らないにゃ」
それを聞いてアイシスは一つ思いついたことがある
修行場だ
時間が経たないならいくらでも修行ができる
彼女は力を使いこなすことに集中するための部屋を手に入れたのだ
「ありがとうございますニャコ様!」
「うむ、存分に活用してほしいのにゃ」
ニャコがグッドポーズをとっている形で消えていく
目が覚める前兆だ
まわりで寝ていた金猫がアイシスの体内に飛び込んでいく
それによりニャコからの力を受け取ったことを感じた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます