神と白黒鬼神3

 ミュミュちゃんが起き上がってから数分後

 ようやく落ち着いた村人たちはミュミュちゃんの回復を喜んだ

「あれ? 全然苦しくない。私どうしちゃったの?」

 その疑問にはすぐにサニアさんが答えた

「ついでに病を治しておきました。心臓に疾患があったのと、肺に水が溜まっていました。それで息苦しさを感じていたのでしょう」

 今までの発作や苦しさは嘘のように吹き飛んだみたいで、ミュミュちゃんの元気さに村人はさらに驚き喜んでいる

 ミュミュちゃんは既に立ち上がれるまでになっているどころか、なんとすぐに走って飛んでなどができるまでになっていた

 大喜びでミュアさんに抱き着き、ミュアさんはそれで大泣きしてる

 喜びに満ち溢れた涙って言うのは良いものだね

 それにしても許せないのはそんな妹思いの彼女を攫って洗脳したことだ

 それも人を殺させてもいる

 この世界では彼女は一切力を使っていなかった。むしろその力があることすら知らなかったらしい

 まあ死体から皮をはぎ取って、それを被ることで初めて発動する力なんて普通知らないもんね

 取り合えずは落ち着いたのか、姉妹は仲良く談笑している

 村長も嬉しそうにそれを見ていた

「では私達はこれで。ミュアさん、妹を大切にしてくださいね」

 ルニアさんという妹がいるサニアさんは実感がこもってるなぁ

 まぁクロハさんほど行き過ぎてもだめだけど、サニアさんやミュアさんは普通に姉妹愛だから問題ないね

 あ、クロハさんには少しお話をして自重してもらわないと

 でも、姉妹っていいね。僕は一人っ子だから羨ましい気もする

 いや待てよ、テュネたちは母さんから生まれてるんだから、僕のお姉さんでいいのか

 うん、僕にもお姉さんいたわ

 

 それからミュアさんと分かれ、僕らは大感謝されながら世界を発った

 そう言えばこの世界には世界の種ってなかったのかな?

 あの種を探すことは僕達にはできない。ウルはどうやって見つけてるんだろう?

 まあミュアさんが攫われたってことはこの世界にはすでにウルは来ている

 あいつらがミュアさんだけ攫って帰るってことはないと思うし、すでにこの世界の種は奪われてる、もしくはもともとなかった可能性はあるね

 とにかく問題が起きてないから恐らくウルはもう来ないはずだ

 ミュアさんの力を狙って来ようにも、ミュアさんの力はサニアさんが消しておいた

 サニアさんの権能、能力

 これは決して人に能力を与えたり様々な力を使えるだけじゃない

 人の力を消したりもできるらしいんだ

 まあその力の度合いによるみたいなんだけどね

 サニアさんよりも強ければ消せないみたい

 同程度の力の持ち主なら何とかってレベル

 ちなみにミュアさんは同程度だったから、消すのにちょっと労力がかかった

 まあミュアさんの協力があったから意外とすぐ消せたんだけどね


 扉をくぐったら魔力が流れていない世界だった

 魔力はないけど何らかの力は感じる

 これはなんだか前に感じたことがあるような力の流れだ

 えっとたぶん超能力?

 この感じなんだか懐かしい

 僕は腰に下げていたとある武器を見た

 超能力銃

 以前黒族の国にあった人工迷宮、その上位階層で出会った超能力者の少女、その子からもらった銃だ

 それが反応している

 銃の中心にある赤い宝石のようなものが光ってるんだ

「それは、超能力に反応しているみたいですね」

「超能力って何ですか?」

 ハクラちゃんが全く分からないという顔でサニアさんに質問した

 それに丁寧に答えるサニアさん

 クロハさんとハクラちゃんは超能力と言う力を今知ったようだ

「なるほど! 魔法のようなものですね!」

 まあたぶん間違ってない

「魔法と言うのは魔力を使いますよね? それは体内の魔力も漂う魔力も使います。しかし超能力は元来体に宿ったものしか使えません。その点が唯一違う点ですね」

 なるほど、魔力に似てるけど超能力の方が少し不便そうだ

 でも応じて超能力って言うのは強力らしい

 魔力ほど力を使わないって点でも優れているのかな?

 

 次元の扉を出てすぐの光景は大きな塀に囲まれた街の目の前ってとこだった

 あと魔物みたいなのがこっちの様子をうかがってる

 どうやらそういう危険生物がいるから街は大きな塀で囲われてるみたいだね

 とりあえず魔物みたいなのはこっちを恐れて襲ってこないから、街に入ることにした

 

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