イレギュラーメルカの冒険4
とりあえずは解決したとは思うんだけど、まだ何か不安があるのよね
この世界に来たウルは多分一人じゃない。そんな気がしてならないから、私はこの世界を見て回って探してみることにした
まぁ問題が起きているところを探して解決するだけなんだけどね
ウルのメンバーはなぜか感知できないけど、どこで問題が起きてどういった事態になっているのかは感知できるみたい
その問題の起きてる場所へ行けばもしかしたらウルがいるかもしれないものね
さて感知を開始、問題の起きてる場所はっと
あったわ。ここから多分二十キロくらい離れた場所に大きな街がある
そこで人々の悲鳴が聞こえるわ
急いでその街に飛ぶと十丁を銃を宙に浮かべて撃ちまくってる男がいた
彼は涙ながらに人を撃っている
何かおかしいわね
「あなた! すぐにその銃をしまいなさい!」
私は男にそう言ったけど、男は「すまない、それはできないんだ」と言いながら私にも銃を向けて撃ってきた
この程度の攻撃なら簡単に止めれるけど、やっぱりおかしい
この男、まるで手加減してるみたい
魔力量から考えるともっと強い砲撃ができるはず。それに撃たれた人達も手や足と言った直接命にかかわるような場所は撃たれていない
そして泣きながらの攻撃
この人、もしかして
「あなた、ウル? 組織に人質でも取られてるの?」
「なぜそれを」
どうやら当たりみたい
ウルには人を襲って喜ぶ連中もいれば人質を取られて嫌々従わされている人がいたり、操られてる人もいる
この人はその一人と見て間違いない
できれば傷つけずに問題を解決したいけど、ひとまずは気絶させるのが一番かしら
私は彼に向かって一番弱い威力の魔力の塊を飛ばした
それはちゃんと彼の頭部に命中し、彼はその場にガクリと崩れ落ちた
なんにせよ人を傷つけることを泣きながらにやっていた彼をこのままにしておけない
とりあえずは彼の回復を待ってから話を聞いてみることにしたわ
一時間ほどで彼の目は覚めた
よく見るとなかなかのイケメンで好みの顔かも
まあそんなことよりちゃんと話を聞かないとね
「で、あなた人質を取られてるわけね?」
「あ、ああ、僕の妹をあいつらに・・・。お願いだ! あの力、君は相当に強いんだろう? ウルに乗り込んで僕の妹を、いや、人質に取られているたくさんの人を助けてくれないかい?」
そうは言われてもウルの本拠地の場所は私でもつかめない
行きようがないのが問題なのよね
「行き方、か、それならなんとかなるかもしれない。ウルにはリーダーと呼ばれる奴らがいるんだけど、そいつらなら転移装置を持ってるんだ。ウルの本拠地に繋がってるから、それを奪えば行けると思う」
「なるほど、じゃあそのリーダーってやつの所に案内しなさい。見たところウルは強い異世界人を集めてるんでしょう?」
「あ、ああ、すまない恩に着るよ」
私はひとまず彼に従うふりをすることでリーダーに会うことになった
ウルに協力したいって体でね
それから彼にリーダーに連絡を取ってもらった
「僕だ、ヘリオだ。ウルの協力者になりそうな逸材を見つけた」
そう連絡しただけでリーダーは分かったと一言言って連絡を切った
すぐにこの辺りの次元が揺れる気配がして、目の前にリーダーらしき男?が現れた
その男?は仮面をかぶっていて正体が掴めない
私の感知をもってしても正体が見えないってことは、こいつもウルの特別な隠匿を受けているのかもね
「お前か、協力者というのは」
「はい、マリーと言います」
ここは一応偽名を使っておいたわ
男は仮面の奥底にある怪しく光る眼で私を見つめる
「ふん、底が見えないな。いいだろうついてこい。この世界での任務もこれで終わりだ。行くぞヘリオ」
リーダーはそう言うと転移装置でこの世界に来ていたウルのメンバーを一気に招集した
この装置中々にすごいわね
集まったのは二人で、どちらも悲しそうな顔をしていた
「エヴィトはどうした?」
「い、いえ、その、分かりません」
「死んだのか? まあいい。あいつは殺すことのみを目的としていたからな。これから先役には経たないだろう」
ウルの目的は人を殺すことじゃないの?
まあ本拠地に行けばその目的も分かるでしょう
リーダーが開いた次元の扉をくぐり、私はウルの本拠地へと乗り込んだ
それがいけなかった
私なら大丈夫、どんな世界だろうと私には敵がいないから。私は最強である原初の娘だから
そう思っていたのが、自負していたのがあだとなってしまった
取り囲まれた私は何らかの攻撃を受け、暗闇へと意識が落ちて行った
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