魔族国再び3
ドレスをもらった後は街を見て回った
数年前まではほとんど魔族の人達ばかりだったけど、今では様々な種族が商業に観光にとやって来ている
魔族と一番仲が悪かったエルフ族までいたのにはびっくりだね
しかもエルフと魔族のカップルに、その子供であるダークエルフもいる
かなり多種多様になって来てるみたいで安心したよ
まぁ魔族だって元々戦いたい人達ばかりじゃなかったし、平和になった今多種族と仲良くなれたのも必然だよね
それで街を見て回ってるんだけど、魔都というだけあってマジックアイテムの数が尋常じゃない
エルフ、ドワーフ、魔族とマジックアイテムを作れる種族は限られてくるんだけど、その中でも魔族は魔力の扱いに長けてる
したがってここでは高魔力を込めてあるマジックアイテムが多いんだ
まぁ僕らはマジックアイテムが無くても支障はないから見てるだけ
そんな中とあるお店で珍しいものを見つけた
「あれ?これって」
「はい、黒族の技術とドワーフの技術、エルフの繊細な加工と魔族の魔力、それらを総結集させた魔法の指輪と言うものです」
「魔法の指輪?」
店の店員さんによると、魔力が全くない人でも中級までの魔法が扱えるようになるもので、今はまだ試作段階だけど安全性や効果は保証されてるらしい
値段は・・・。ゲッ、この世界で宮殿が一城買えるじゃないか
それなのにもう数個売れてるんだとか
基本的に魔力の少ない人間族の貴族とかが買ってるみたい
ちなみに人間族の貴族、他種族を見下してそうなイメージがあったけど、この世界は人格者がかなり多いみたい
それが旅で得た僕の知識だけど、なんでも腹黒貴族とかは人間族の王が徹底的に排除していった結果、ちゃんと市民を守る貴族ばかりになったらしい
まあそれでも少しばかりはいるんだけど、王様が目を光らせてるからどうもできない
それに僕ら精霊もそういった貴族に一切加護も何も与えないから、自然とそう言った輩は淘汰されていくんだ
街を見て回っているうちにお昼になった
今日は城下の食堂にでも行こうって話になってた
色々と魔王としての仕事を終えたキーラちゃんも合流して、一緒にキーラちゃんおススメの店に行くことになったよ
それがここ、魔王拉麺だ
キーラちゃんリスペクトって言うことじゃなくて、辛いラーメンを出すみたいなんだ
なんでも異世界から来た人が大将なんだとか
「大将! いつもの!」
キーラちゃんは入ってすぐにそう叫んだ
「あいよ! キーラちゃん今日も元気だね。おや、今日はお友達も連れて・・・。おいキーラちゃん、お兄さんにそこの実目麗しい女性たちを紹介してくれ、いやしてください」
「おお、こっちは精霊王女のリディエラちゃんで、こっちは鬼ヶ島の姫二人、黒い方がクロハちゃん、白い方がハクラちゃんだぞ」
「なんと、姫君達であらせられましたか、これはとんだご無礼を」
この人謝ってるけど、僕とクロハさんの胸をジー―――っと見てる
なんてオープンなスケベなんだろう
「よし、今日は腕によりをかけて作っちゃうぞ!」
大将は見た目二十代後半くらいで、筋骨隆々なムッキムキのお兄さん
一時期冒険者もしてたけど、かねてよりの夢だったラーメン屋をどうしても開きたくて、魔物の肉や骨などを使って美味しいラーメンの研究をしたらしい
で、数年前にここで店を開いて大繁盛というわけだ
「ここにはよく来るの?」
「魔王様は週五回は来てますね」
ヘビーリピーターじゃないか
でもそれだけ美味しいなら期待大だね
しばらく待ってるとラーメンが運ばれてきた
あれ?全員同じだ
「ここのメニューは一種類だけですよ」
リドリリさんは不思議そうに見ている僕の気持ちを悟ったのかそういった
「あれ?でもキーラちゃんがいつものって」
「常連になったらそう言うのがマナーだって大将が言ってたの」
ああ、キーラちゃんにそう言わせたくて大将が餌付けしたのか・・・
でもまぁ確かにいつもの!って元気よく言うキーラちゃんの笑顔は癒されるからしょうがないね
運ばれてきたラーメンは野菜たっぷりの濃い味ラーメンで、豚骨のような香りがある
いわゆる家系ラーメンのようなものだ
でも味は濃いように見えてあっさりしてて、風味も豚骨だけじゃなくて魚介のような味も含まれてる。それでいて辛さもあっていい感じ
野菜がかなり多いから食べきれるか心配だったけど、皆その美味しさに全て平らげてしまった
「どう? 美味しかったでしょ!」
「うん、キーラちゃんほっぺに麺が付いてるよ」
それに気づいたリドリリさんがハンカチを取り出して拭いてあげてる
この二人は親友というより親子か姉妹みたいだ
で、ハクラちゃんとクロハさんを見ると、クロハさんはハクラちゃんの口元に付いてるスープを指でぬぐってペロペロしてる
こっちはちょっと危ない関係だ
ハクラちゃんはいつもやられてるのか何の反応もしてないけどね・・・
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