人間族の国再び2
すぐにでも始めようとヨウコ様が前に出た
なんだか親近感が沸く気配の人だな
「さて、俺はヨウコ、こう見えて元々人間、その後に精霊になった。君と似た生い立ちの女神っすよ! てか俺も元々男だったんすけど、まぁこの体は割と好きっすね。食事をとらなくても動けるし、何より女の子の体ってのはなかなかいいものっすよ。みて下さいっすこの豊満なボディぶげっ」
「余計なこと言ってないで早く始めろヨウコ、リディエラも困っているだろう」
目を丸くしていた僕を見てアコ様が止めてくれた。このまま続けられていたら返答に困るところだったよ
僕の周りにいた女性はハクラちゃんを覗いてスタイルのいいお姉さんばかりだったから、それで心乱されるなんてことは無いとは思うけどね
いやそりゃガッと迫ってこられたら困るけど
「申し訳ないっす、つい余計なことを口走っちゃったっすね。悪い癖っす。でもここからはちゃんと本気で相手させていただくっすよ。それがたとえ女の子であろうとも手は抜かないのが俺のポリシーっすから。ちゃんと対応しないと死ぬっすよ。いやマジで」
「はっはい!」
急にヨウコ様の雰囲気が変わった
目が怪しく金色に光り、僕と同じような精霊の力を感じる
でもそれだけじゃない。これは妖力? いや、神力と妖力が混ざったような不思議な力と、それに精霊としての魔力が重なってる感じ
びりびりと空気が震えて、気を抜いたらそのまま消滅してしまいそうだ
僕は魔力でしっかりとガードしてヨウコ様に立ち向かった
「まずは肩慣らし、俺の放つ魔法をすべてその身で受けるっす。死ぬなよ?」
「ひっ」
なんて恐ろしい目をするんだろう。まるで路傍の石を見るかのような目
この人は本当に僕を殺す気で魔法を放つんだ。だったら僕はそれに答えるだけ
トコ様の百魔物組手のおかげで覚醒したこの目で、魔法の弱い部分を最小限の魔法を撃ち込んで打ち消す!
「上級魔法、セルフレア」
それは今まで見たことが無いほど強力な魔法だった
上級魔法は僕も使えるけど、これは実力が違いすぎる。それにこんな魔法僕は見たことが無い
たった数センチの小さな火種が無数に宙に浮かび、一斉に放たれた
すぐに僕も魔法で応戦したけど、あまりの数に追いつかない。やがて一撃一撃がすり抜けて僕の後ろの地面に当たり始めた
そのインパクトの瞬間床が弾ける
本当に小さな火種なのに、威力が僕の炎系精霊魔法と同じくらいの威力なんだ
後ろで起こる爆発に巻き込まれ、僕は前に吹き飛ばされた。あ、これ、死
「ふぅ、まだまだっすねおチビちゃん」
火種に当たりそうになった瞬間にヨウコ様が全ての火種を消し去った
あれほどの魔法を自在にコントロールし、なおかつ僕が死なないよう配慮してくれていた
ここまでの差があるんだ・・・。でもそれが分かっただけでもよかった。何せ目標とする基準が分かったんだから
「お、目は全然死んでないっすね。アコさん、このおチビちゃん強くなるっすよ。ニヒヒ」
「ああ、それは始めた会った時から分かっているさ。リディエラ、どうだ?やれそうか?」
「はい! ガンガンお願いします!」
「うむ、それでこそ鍛えがいがある。ヨウコ、引き続き頼むぞ。俺はトコと遊んでいるからな」
「そんなぁそりゃないっすよアコさん! 俺だけ働くんすか!?」
「すまんな、トコは定期的に俺といないとまたイタズラ癖が再発する恐れがあるからな」
「う、そう言えばそうでしたっすね。トコちゃん放っておくのは無しっす。またあんなイタズラ、いやあれはイタズラの域を超えてるっすからねぇ。おお怖い怖い」
ヨウコ様はブルブル震えるしぐさをわざとらしく大げさにしてから僕に向き直った
「さてと、じゃあガンガン行くっすからしっかりと見るっす。死なないようにはなるべく気を付けるっすけど一撃一撃が即死級っすよ。心してかかることっすね」
「はい! どんとこいです!」
「いい返事っす! それじゃあまず俺の本気の一撃を今見せておくっす。最終的にはここまで到達してもらう予定っすからしっかりと見るように」
ヨウコ様から流れでる魔力や妖力がさらに強くなっていく。僕はその大気を震わす力を真正面から受け止めた
体が消えそう。でも僕は全てを受けるため強い意志を持って魔力を解放する
「最大防御! 精霊魔法、ヘリアプロテリア!」
なんだろうこの魔法、精霊魔法にこんなのあったかな?
母さんから教えてもらったはずの精霊魔法、その中には絶対になかったはずだ。急に頭に思い浮かんで、それで・・・
これってどういうことなんだろう?
「古代魔法、セロファタ」
全ての力が集約したかのような恐ろしいほどの貫通力があると思われるレーザー。それが僕に向かって迫る
足を踏んばってレーザーを真正面から受け止めて耐える
不思議と全然押されてない? すごい、異に返さないほどに耐えれてる!
「んげぇ、俺の最強魔法の一つっすのにこれをもう耐えちゃうんすか? 防御系に関してはもはやアコさんをも超えてるじゃないっすか!」
レーザーを耐え抜いたことでヨウコ様に絶賛されてちょっと恥ずかしいけど、反面すごく嬉しいな
次は僕に攻撃用の古代魔法を順次授けてくれるみたいだ
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