竜人族の国7
ポココマへ戻った僕たちは次に
ここはバラの他にチューリップや特に香り高い花々が浮いているみたいだ。なかには見たことの無い花もある
入った瞬間にあまーい香りが全身に広がっていき、その香りを楽しむために思いっきり吸い込んだ
「リディエラ様、こちらの石鹸で体を洗うと良いみたいですよ」
テュネが僕に渡してくれた石鹸はバラの香りを存分に含んでいるらしく、通常の石鹸とは比べ物にならないくらい
ちなみに普通の石鹸の香りもバラの香りがついてるんだよ
しっかりと泡立てて、体を洗ってみる
なんていい匂いなんだろう。 癒される~
「では湯に浸かってみましょうか」
アスラムが我慢出来ないといった感じで石鹸を洗いながし、そそくさと浸かりに行った
「はわ~、この香り、故郷の花畑を思い出しますね」
アスラムが言ってる花畑というのは、妖精達が楽しく舞う精霊族の国にある花畑のこと
そこはアスラムや花の精霊や妖精たちが管理してて、常時すべての花々が咲き乱れている楽園なのだ!
「確かに、あそこを思い出しますね。 故郷の精霊達は元気でしょうか」
エンシュの言う通り、ここしばらく母さんの所には帰っていない
それに人間族の国にある家なんていいも帰ってないな
一応定期的に連絡は取ってるんだけど、やっぱりちゃんと会った方がいいに決まってる
「バルハートの観光が終わったら一旦帰りましょうか。シルフェイン様もお喜びになると思います」
「そうだね、そうしよう。ガンちゃんにも会いたいし、家に帰ってカスミ達にも会いたいしね」
アンミツ姫と同じく神竜の域まで達したガンちゃんことガンドレ君は妖精たちの面倒をよく見てくれる優しい竜だ
態度や言葉は粗暴だけど、妖精と仲がいいから常に彼の周りを妖精たちが飛び回っている
ちなみに最近人化できるようになったみたいで、その状態の彼に会いたいっていうのもある
それに僕らの家を守ってくれる妖精たちも連絡では元気だってわかってるけど、僕にいつも会いたいと言い続けてくれてるので会いに行かなくっちゃね
「ふいぃ、やっぱりお花の香りって最高です~」
フーレンは本当にとろけるようにデロンとしてきている
肉体を持たないからこそこういった形態にもなれるんだよね
だから僕も形態を変えようと思えば変えれるし、実を言うと男性の姿も取ることができる
でももうこの姿に慣れちゃったからよっぽどのことがない限り変えることはないと思う
ゆっくりと浸かって出ようとすると入れ違いに見たことのある人が
あのイケメン顔に艶びやかな肌、非常に妖艶な雰囲気によって周りの女性を虜にしている
そんな女性達の黄色い声援と共にやって来たのは、人間族の聖騎士ラキアさんだ
前に会ったのは鬼人族の国である鬼ヶ島の温泉だったかな
僕は気づかれないようにそっと気配を消して出ようとしたんだけど、ガッチリ捕まってしまった
「やぁ精霊様! お久しぶりですね」
目が怖いんだよこの人、何ていうか危険を感じるというか、いや別に命の危険ってわけじゃないんだけどね
とりあえず放してくれそうにないから彼女が出るのを外で待つってことを告げて、ようやく手を放してもらった
しばらく待っていると大急ぎで入って来たのか、ほのかに花の香りのするラキアさんが飛び出してきて僕抱きついた
「ひわっ!」
「ああ、精霊様、何と良き香りなんでしょう。ハァハァ、クンカクンカ、たまりません、たまりませんぞぉ!」
やだ怖い、目が、目が血走ってるよぉ
「ラキア、リディエラ様が怖がってますよ」
テュネが注意したことでラキアさんが我に返る
「ハッ、私としたことがとんだご無礼を。それにしても、リディエラ様は本当に可愛いですね」
あ、まだ放してはくれないんだ
激しい人だけど悪意はまったく感じれないから逆にたちが悪い
いい人で強くて女性にだけ優しくて、精霊の加護も持ってる人だから精霊達もそれなりに信頼はしている
ただ、彼女に会う女性型精霊はみんな彼女が苦手だって言ってる
女性型精霊はみんな彼女に抱き着かれてるからね
「ところでリディエラ様、此度は観光ですか? でしたらおススメの場所があるのでご紹介したいのですが」
彼女は冒険者でありながら様々な国の観光、特に温泉巡りをするのが趣味
冒険者としてのランクはAランクで、もうすぐSランクに上がるみたい
そんな彼女がおススメするってことは、この街の温泉かな?
「その地図、温泉がすべて乗っていると言われていますが、実は隠された秘湯というものがあるのです!キラン!」
「な、なんだってー!」
ラキアさんに合わせて叫んでみたら彼女は満足してくれたみたい
「ちょうどこことここの間の岩場、この奥に知る人ぞ知る秘湯があるそうなのです」
情報源は秘湯マニアと自称する異世界人のユダイスキーさんという人
ユダイスキー・・・。湯大好き
多分日本人だその人
とにかく情報はしっかりした出所らしいので間違いないと思う
僕らはラキアさんについてその秘湯へ行くことにした
後ろからたくさんの女性がついて来ようとしたけど、ラキアさんが止めたらため息交じりにおとなしく引き下がってくれた
さてさて、秘湯とは一体どんな感じなんだろう。楽しみでしょうがない
だけど、その道のりは険しかった
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