イレギュラーメルカ7
ここで暮らし始めて数日が経った
パリケルちゃんは忙しそうだから私はミヤちゃんやアヤちゃんに相手をしてもらっている
二人は私の話をよく聞いてくれるし、いろんな遊びを知ってる
それにここで取れた作物はどれも黒いんだけど、味はとっても美味しい
「これも食べてみて下さい。黒焼き芋です。黒いがゆえに焦げているのかどうかの見極めが難しいのですが、そこは何度も調理を重ねて見極めました。どうぞ試してみて下さい」
うわ、本当に真っ黒で黒焦げみたいなお芋。中まで真っ黒で苦そう
「ハムッ、モグモグモグ」
これは美味しい! 数万年ぶりにお芋を食べたせいもあるかもしれないけど、私の記憶の中でのお芋の中で一番おいしい
「ここの作物ってすごいね。どうやって作ってるの?」
「えっとですね。これらの作物は私達の闇の力を与えて育てています。この力を注入すると驚異的な成長をするとともにその味も向上するのです。ただ、この方法だと毒素が」
「ブゥウウウ!!」
思わず吹き出しちゃったけど、毒!?
あ、いやまぁ効かないからいいんだけど、毒って、大丈夫なの?
「あ、毒はパリケル様のおかげで全て取り除かれております」
なんだ、大丈夫なのね
また食べ始め、食べ終えて、大満足
「メルカ様、お客様がお見えです」
「え?私にお客?」
誰だろう? もしかしてエイシャちゃんかな? あの後二人とも世界の様子を見にどこかへ行っちゃったし
「ヤッホ、ホルタだよ!」
誰・・・?
「ホルタだよ!」
「はい、どちら様でしょう?」
「ホールーターだーよー」
「だから誰?」
そのホルタという子はいきなり私を掴むと神力を発揮した
「ちょ、ここで争いはやめてください!」
「だいじょぶだいじょぶ、うわさを振りまくだけだから」
私の中に彼女の力が流れ込んでくる
「これは」
「そだよー、貴方は別に敵として囚われるわけじゃないんだよ。とりあえず話だけでも聞いてほしいなぁ。ほら、ちょうどエイシャちゃんも来たし」
ホルタちゃんが後ろを向くとその後ろにエイシャちゃんがバツの悪そうな顔で立っていた
「いやはは、私の早とちりだったみたいでぇ」
どうやらホルタちゃんの話だと私は特にまた封印されるってわけじゃなくて、神様たちの世界に来て今までのことを謝りたい、と言われた
別に私はもう恨んでない。封印のおかげでエイシャちゃんやアズリアちゃんと友達になれたし
「取りあえず、にぃにに会ってほしいな」
「にぃに?」
「ラシュア兄様。私達神々をまとめる天の神様よ」
ああ、あの神様か。私の苦手な
ラシュアや力ある者達に囲まれ、訳も分からずに封印されたあの日、あの神様は私の方を見て悲しそうな顔をした
あの目には優しさと慈愛が込められてたから、悪い人じゃなさそうだけど
「分かったわ。行く。会ってみたかったし」
そのあとはホルタちゃんを先頭に狭間の世界から神々の住む世界へとゲートをくぐって歩いた
「にぃにはねぇ、皆に優しいんだぁ。エイシャちゃんと違って」
「ん?」
エイシャちゃんがホルタちゃんを睨みつけている
エイシャちゃん、怖い
「ひっ、ほらもうすぐ怒るんだもん」
「姉様が怒らせることばかりするからです」
楽しくお話をしながら神々の世界へ到着
一斉に私の方へ目が向いた
「あれは、イレギュラーか?」
「まさか、ここに来るとは」
「気をつけろ、何をするかわからん」
口々に言われた。言われなれてるから別にいいけど
「ちょっと! 私の友達に変なこと言わないで!」
エイシャちゃんが私のために怒ってくれてる
思えば、エイシャちゃんとアズリアちゃんはずっと私の味方でいてくれた
この子たちのためなら死んでもいいと思えるくらいに私の大切なヒトになった
「すまないエイシャ、皆にまだ伝えていなかった」
「兄様も意外と抜けたところがあるのですね」
「エイシャ、まったく。お前はいつも問題ばかり起こして。まぁ無事に帰って来たのだからよしとしましょう。ところでサニア、ルニア、プリシラの三柱とは連絡を取れましたか?」
あれま、あの子たちはいないのね
会いたかったのになぁ
でも、やっぱりラシュアって人は私の思ってた通り良い神様だった
あの時心を操られていなければ、エイシャちゃんと仲違いをすることもなかったのに
「まぁいいでしょう、あの子たちが戻るまでくつろぎなさい」
ラシュアさんが私に座るよう椅子を出した
「ようやくこうしてあなたと話ができる。あなたは、我々を恨んでいるでしょうね」
「え? 全然そんなことないですよ?」
「しかし我々はあなたを何万年も閉じ込めた。許してほしいとは言いません。ただ、我々はあなたのその力が怖かった。母上とも引き離してしまった。あの方は我々を助けて下さったと言うのに」
「正直言うと、最初は恨みましたよ。なんで?って。お父さんを失ってすぐだったから全部恨んだよ。封印が解けたら何もかも壊しちゃおうって思ってた。だけど、エイシャちゃんが私を救ってくれた。やっぱり心の支えって大事よね。あなたもそんなに気を張らないで、気楽に行きましょうよ」
「ありがとう、やはり君はあの方に似ている」
お母さんに似ているって
凄く嬉しいな
それからしばらくして、サニアちゃんたちが帰って来た
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