妖怪族の国11
速度も上がり、耐久度や広さも向上した船は順調に進んでいる
魔物も問題なく倒せてるし、岩などの障害物も自動で避けてくれている
僕らはたまに出てくるBランクの魔物を倒すくらいですっごく楽、と同時に暇
「次の関門が見えてきましたね」
あ、ホントだ。大きな門がそびえたってる。船のスピードも落ちてきた
やがて船はゆっくりと止まる
「ようこそ第二関門へ。こちらではミニゲームをしていただきます。内容は空中に浮かぶ的を撃ちぬいてください。五十個撃ちぬければクリアです。的は百個出てきます。そちらに置いてある弓、もしくは水鉄砲で的を狙ってください。それでは準備が出来ましたらお声がけください」
説明をしてくれたのはカラス天狗族のお姉さんだ
頭にちょこんと乗せてる烏帽子が可愛い
説明の通り、弓と水鉄砲を持った僕たちは、お姉さんに準備ができたことを伝えた
「それでは、的当てゲーム、スタートです!」
空中には妖術で操られた木の的が浮かんでいる
ゆらゆら揺れてたり、フワフワと上下に動いたりとなかなか当てにくそうだ
「えいっえいっ・・・。当たんない」
クノエちゃんは弓を使ってるんだけど、どうやら初めて使うらしくて的に全く当たらないみたいだ
反対にナゴミちゃんは弓がすごくうまい
「それ~、そこです~」
うわ、フーレン凄い。百発百中の勢いで的を射抜いてる
よし、僕も負けてられない
僕が選んだのは水鉄砲。木で出来てるけどなかなかによくできてて、威力も申し分ない
「それっ!」
よく狙いをつけて撃ってみたけど、当たらなかった
「あらら、おかしいなぁ」
もう一度狙いをつけて水を撃ちだす。でもまた当たらない
それを何度か繰り返しているうちにコツがわかって来た
水鉄砲は曲線を描いて撃ちだされるから、少し上を狙って撃つと
ほら当たった!
ここからは僕も改心躍進で、たくさんの的を撃ちぬいた
ちなみに一番うまいのがフーレンで、その次がテュネ、ナゴミちゃん
クノエちゃんとエンシュはほとんど当たらず、撃ちぬけたのは二人とも二枚だった
「ま、得意分野がそれぞれあるんだからしょうがないよ」
落ち込む二人を慰めて、第二関門を無事突破した
撃ちぬいたのは百枚中八十七枚と、今年の最高記録をたたき出したらしい
でも今までの最高記録が全弾命中だったので、そこはちょっと悔しかったかな
その記録を出した人は異世界から来た不思議な道具を使う五人組で、その中のたった一人が水鉄砲で全て撃ち落としたと聞いて驚いた
そのまま進むとかなり広い湖についた
穏やかな風によって湖が波音を立てている
その中央から首の長い竜のような魔物?が現れた
「第三関門、レイクサーペントのマリアンヌです」
おしとやかで綺麗な声、長いまつげとその名前から女性のようだね
「ここではわたくしの望むものを差し出してもらいます。差し出してもらうのは三つ。この湖から少し先の池にある蛇神の抜け殻、横にある森にいるセンジュマイマイの貝殻、湖の湖底に落ちている私の鱗です」
ふむふむ、お使いだね。三手に分かれて集めた方が速そうだ
僕とテュネは湖底、フーレンとエンシュ、アスラムは池、クノエちゃんとナゴミちゃんは森、という感じに分かれて早速言われたアイテムを取りに行った
僕とテュネの湖底班はテュネの力によってあっさりと手に入れることが出来た
水の精霊ウンディーネだからちょっと簡単すぎたくらい
フーレン、エンシュ、アスラムの三体は池へ向かったんだけど、こっちはバトルがあったらしい
ただ、武闘派のエンシュがいたからこっちもあっけなかったんだとか
出てきたのは神獣蛇神のミコちゃんという少女で、わたしゅとか、でしゅましゅ口調で可愛かったそうで、僕も会いたかったなぁ
そしてクノエちゃんとナゴミちゃんの二人は、貝殻を探すのに苦戦していた
「むー、見つかんない。なによセンジュマイマイって。見たことも聞いたこともないもん!」
「えっと、センジュマイマイはこの里だけに住むカタツムリです。触手が百本あって、高いところの花を食べるそうです」
「高いところ? 下ばっかり探してた。じゃぁ高いところを見てみましょう」
「はい!」
妖術で空中に浮かびながら木に咲く花や、崖に生える花を探していると
「見つけました!」
ナゴミちゃんが白い貝殻を見つけた
センジュマイマイは大きくなるときに殻を脱ぐ習性があり、その脱いだ殻は純白に輝く宝石のような貝殻となる
それも高額で取引されるのでまさしく宝石だ
無事三組ともアイテムを手に入れて戻って来た
「確認いたしました。合格です。どうぞ先へお進みください」
マリアンヌさんはしずしずとゆったりとした動作で道を示してくれた
どうやら彼女の幻術で隠されてたみたいだ
いよいよ次の関門を突破すればゴールまで一直線
誰もかけることなくゴールだ
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