妖怪族の国7
店の外観はコケに包まれたグリーンハウスと言った感じかな
全体的に癒しをテーマにしているのでところどころに可愛いオブジェクトがあしらわれている
「深緑のような良い匂いがしますね」
アスラムが深く深く深呼吸してる(呼吸はしていないからしてるふりだけど)
中に入って内装を見ると、コケのアート作品が多数展示されていて、気に入った作品があれば購入もできるらしい
さて、席に着いた。運ばれてきたメニューを広げてみる
ん? このメニュー、コケで出来てる
メニューにあったのはコケを使ったサラダ、しかもコケドレッシングがかかってる
このドレッシングはまるでジェノヴァソースみたいだ
そのほかに数種類の野菜と一緒にコケを煮込んだスープ、シチュー、コケカレーなんていう緑色のカレーもある
それからコケとご飯を炊き込みご飯風にしたものや、魚のお腹にコケを詰めて蒸し焼きにしたもの、乾燥させたコケを肉に香草のように振りかけたステーキなどなど
さらにさらに! コケケーキ、コケプリン、コケシュークリーム、コケティラミス、コケアイス、コケクリームブリュレ、コケジュース・・・
デザートの種類、豊富すぎ! これは非常に嬉しいですよ
それぞれ好きな料理を注文。僕は気になったコケカレーとコケジュース、それとコケアイスを頼んでみた
ちょっとエンシュ、頼みすぎじゃないかな君は。お肉ばかり二十皿とパフェが三十杯・・・
いやまぁいいんだけどね
「エ、エンシュ様、凄いですね」
「まぁ彼女はいつものことだから」
あれ? エンシュの食欲に隠れて目立たなかったけど、テュネはデザートばかり何種類も頼んでる
太らないけど太るよ?って言いたい
フーレンは相変わらずマイペースにゆっくりと、だけど量を食べているね
アスラムは完全に野菜ばかりだ
クノエちゃんは魚料理にプリンか。量は少なめ
で、ナゴミちゃんは、抹茶と緑色のぜんざい。そういうのもあるのか
そしてである。コケ料理のお味は、非常においしいものでした
なんというか、もっと土臭いのかと思ったけど、さわやかな香りで、食感はブロッコリーに似てるかも
それでいて柔らかくて芳醇な風味もある
特にパフェは絶品だった。コケ料理はデザートに向いてるのかもしれない
そうそう、食べ終わった後にサービスで出されるコケ茶。これもよかったね。食べた後の口の中をすっきりとさせてくれる
「美味しかったですね。では次に参りましょうか。次は食後の運動がてら急流下りなどいかがでしょうか?」
「急流下り? それって、ボートとかカヤック?に乗って流れのはやい川を下っていくってやつかな?」
「ぼおと?かやっく?というのは分かりませんが、小舟に乗って激流を下っていく遊びでして、落ちないように小舟を操作するのです。魔法で操ってもいいですし、私達のように妖術で操れる種族は妖術で。操作棒も貸し出しされているので、魔法や妖術の使えない人でも操作できるようになってます」
なるほど、楽しそう!
早速行ってみようっと
コケ料理店から少し行ったところに激流下りの乗り場があった
操作能力ごとに分かれているみたいで、魔法、妖術、手動と書かれた入り口がある
「じゃぁ僕達精霊組は魔法かな? クノエちゃんとナゴミちゃんは妖術かな?」
「私達、魔法も使えるわよ。一応修行してるもの」
じゃぁみんな一緒に行けるかな? どうやらこれは二人乗りから十人乗りまでの小舟があって、全員で協力して操作できるようになってるらしい
ちなみに魔法と妖術の乗り場は途中に魔物も出てくるから倒しながら進んでいかなきゃいけない
「魔物の強さはBランクが最高です。一応安全のために船を攻撃するだけになってるので人には攻撃してきません。ただ、船が壊れちゃうとその時点で外へ転移させられて終了となります」
入口に立っていたカラス天狗族のお姉さんに説明を聞いていざ船へと乗り込んだ
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