魔族の国23

 二日目

 今日も色々温泉を巡ろう。あと何か美味しいものが食べたいなぁ

 よし、店探しもするとしよう

 本日一つ目は特製牛乳風呂

 近くの牧場で取れる牛乳をふんだんに使ったお風呂で、温泉の効能と見事にマッチングして途轍もない美肌効果を持つらしい

 まず僕が足をつけてみると、温度はちょうどいい

 足から膝、腰と浸かっていくと、ぬるりとした感触が伝わって来た

 牛乳以外にも温泉が入っているのでこういった感触なんだろう

 肩まで濃度の濃い温泉に浸かると、体に浸透しているように感じた

「気持ちいいねー」

「ですね。これならリディエラ様もまた一段と可愛くなりますね」

「それは、どうかな」

 苦笑しながらも気持ちよさに顔がほころんだ

 ゆったり浸かって出て、肌を触ってみるとすべすべだ

 テュネたちを見てみると、肌がてかってより一層綺麗だ

 まわりにいた女性たちも思わず見とれている

「何あの人たち、モデル?」

「なんて美しいの、あれはもはや芸術よ」

「お姉さま・・・」

 ところどころで感嘆の声が漏れている

 なかにはちょっと危ない感じの声もあるけど気にしないことにしよう

 次に来たのは薬湯だ

 傷を癒す効果もあるんだけど、精力増強効果もあるみたいだから一応入ってみることにした

 独特の香りを放つ薬湯

 これ、大丈夫なの?ってくらいに緑色だ

 浸かってみると、ペパーミントのような爽快感

 スーッとする

 入ってみたはいいけど、効果があるのかよく分からないな

 傷もあるわけじゃないし

 そう思っていると、傷だらけの戦士風の魔族の女性が入って来た

 古傷も多くて、つい先ほどついたんじゃないかってくらいの生傷まである

「う~、沁みる~」

 女性が薬湯に浸かると、女性の体が光り始めた

「眩しっ、なになに?」

 驚いているとその女性から光が消えた。そのうえ傷も消えている

 生傷はおろか、古傷まで消えてる

 すごい効果だ

「ん? お嬢ちゃん、ここの効果を見るのは初めてか?」

 戦士の女性が話しかけてきた

「は、はい。すごい効果ですね」

「そうだろう? 私の父も戦士だったんだが、ここに入りびたりだったよ」

 体中にあった傷が消えた彼女は今玉のような肌になっている

「では、私はこれから牛乳風呂に入るつもりだ。またどこかで会えたらその時はよろしく」

 彼女はどうやらこちらが冒険者だと見抜いたみたい

 名前を名乗って去って行った

 彼女はオレイン・マルドゥさんと言うらしい

 代々戦士の家系で、その中でも彼女は魔法特性もあったので魔法戦士として活動しているんだとか

 他にも仲間はいるらしいけど、今日は療養でここに来てたんだって

 すがすがしい人だったな

 また会ったら冒険の話とか聞いてみよう

 昼食をはさんで本日最後のお風呂

 ちなみに昼食は野菜たっぷりのハムチーズサンド

 結構大きかったけどおいしくいただけました

 で、今日最後に浸かったお風呂はスライム風呂とかいう特殊なお風呂だ

 体に害のない汚れのみを食べてくれる巨大スライムが湯船に満たされていた

 恐る恐る入ってみる

「あぁ、ん、あふぅ」

 変な声が出るほど気持ちいい

 これは、なんだかイケナイ感じの癖になりそう

「あぁああん」

「くっ、これは何とも」

「あひゃぁ~、気持ちいいです~」

「ん、く」

 うわぁ、四大精霊がとてもじゃないけど人に見せられないし聞かせられない姿と言うか、声と言うか

 うん、僕もそうだけど、これは子供が入っちゃダメなやつだ

 すぐに出て体を拭いた

 あ、でもなんか体がすっきりしてる

 すべすべが増してる感じ

 ここのスライムは汚れを食べてくれるだけじゃなくて、美肌効果のある液を分泌しているらしい

 いかがわしい姿になるのを除けばすごくいいお風呂でした

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