人間の街4
当面の食料は確保できたけど、継続的に食料を得るとなると森の恵みだけでは難しい
一応畑の体制は出来上がっていて、芋や成長の早い野菜類は植わっている
それだけでは心もとないので先に取ってきていた果物や野草、薬草などの栽培を始めることにした
ここでもアスラムの知識が役立ったよ
土に精通している彼女のおかげでどこに何を植えれば育ちやすいかが手に取るように分かったんだ
次に水を引くための水路を作るんだけど、これはウンディーネであるテュネが役に立ってくれた
一番近くにある川から協力して水路を作り、それをそれぞれの畑近くに引っ張っていく。ついでに水田も作った
お米とかの穀物があれば栽培しようと思うんだ。やっぱりお米が食べたい
「リディエラ様、私は家畜用の得物を狩ってきます」
そう言いだしたのはエンシュだ
確かに家畜がいれば魔物をいちいち狩りに行く必要もなくなってくる。猪のような魔物がいたのでそのあたりが適しているだろう。猪を家畜化したのが豚だと聞いたことがあるしね
「じゃぁエンシュとフーレンは家畜になりそうな魔物を狩ってきて。僕とアスラムは穀物を探しに行こう。テュネは引き続き水路の整備をお願い」
四柱とも「拝承致しました」と頭を下げた
うん、できたらみんなが見てる前ではあまりかしこまらないで欲しいかな
どういう関係なのかと思われるし、ここでは僕らは冒険者仲間だと思われてるんだから
まぁ結構いろんなところで彼女たちが跪いている姿を見られてるからもう手遅れかもしれないけど
森の反対側、街の西の出口には湿地帯がある。アスラムさんが言うにはこの辺りに穀物になりそうな植物が自生している可能性が高いらしい
早速二人で手分けして探してみた
しばらく探していると、小麦らしきものと粟や稗
と言った雑穀が見つかったよ
でもお米どころかそれに似た植物は全く見つからなかったんだよねぇ
まぁ時間はあるから気長に探すとしよう。とりあえずは小麦と粟、稗を持ち帰り栽培することにした
麦があればまともなパンが作れる。それだけでも嬉しかった
なんせこの世界のパンはかなり堅い上に粉っぽくておいしくない
作り方は一緒なのに穀物が違うようで、かなりまずかった
街に戻るとまずは小麦の栽培に取り掛かってみた
作物の栽培方法はアスラム監修だ
種を採取してそれらをよく濡らした畑に蒔いて、水路の整備を終えたテュネが水の精霊魔法で雨を降らすように畑に水を注いだ。その後苗を等間隔に植えていく
さらに水をまいた後は乾燥を防ぐためにフーレンが作ってくれた薄い布をかぶせておいた
三日後くらいにこれを踏んでいくらしい。強い麦を作るのに必要な手順だそうだ
次に粟と稗を植えていく
こっちの方は雑草のように強いので植えて適度に水をあげてればいいそうだ
これで雑穀の栽培はうまくいくだろうとのこと。と言うかうまくいってほしい
あとは家畜なんだけど、僕らが粟と稗を植え終わったところでエンシュとフーレンが戻って来た
テュネから借りた道具袋から大量の猪や牛型の魔物、それに鹿のような魔物、うさぎのような魔物を取り出していく
それらはフーレンが家畜化しやすいように魔法で洗脳しているらしくおとなしかった
その子達を開拓民たちに作ってもらった牧場に放牧しておく
ちょうどいいことに牧草の生えた丘があったのでそこを区分けして家畜ごとに分けて入れた
これで家畜の育成にも着手できそうだ。それに、牛型の魔物からはミルクも取れる。これは嬉しい誤算だった
ミルクから作れる食品は多い、チーズにバターなどなど
鶏型の魔物もいたので卵も手に入る。 もしかしたらマヨネーズなんかも作れるかもしれない
ご飯の味に多様性が出るのは非常にうれしい
それから数ヵ月、僕たちは開拓地のリーダーのようになっていた
みんなからは認められ、新しく来た開拓民たちの協力も相まって徐々に街も発展してきた
そして、僕の家が完成した。この街で一番大きいかもしれない
最初想定していた10人は住める家とは違い、ここは50人はゆうに住める屋敷になっていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます