学園生活15

 二日目

 昨日はあの後着替えて街に戻って、ご飯を食べて寝た

 ご飯は魚料理が中心で、ムニエルが美味しかったです

 さて今日は何をするかというと、エサラの回廊という花が咲く木でで出来た道に行こうと思うんだ

 この回廊、道に沿ってその花が植えられているから天を埋め尽くすかのような一面の花が見れるらしい

 だから回廊か。トンネルみたいになってるっぽいし、これは楽しみ

「えーっと、馬車は、あ、これだよお母さん」

「じゃあ乗りましょうか」

 昨日と同じようにエサラの回廊までの馬車が出てるからそれに乗り込む

 うわ、結構ギューギューだね。あ、お母さんの横に鼻の下を伸ばした男が座ろうとしてる! ああ駄目座られちゃった

「ほらミーニャはこっちだよ」

 私はミナモちゃんに抱きかかえられて膝の上に乗せられた

 ぐぬぬあの男、お母さんの胸に視線を集中させてる。ばれないとでも思っているのかねぇ? バレバレですよ

 まぁ手を出さないならこっちも手は出さないけど、もし触ろうもんなら必殺お眠りなさい猫パンチだね

 しばらくすると馬車はゆっくりと揺れながら動き始めた

 この街から回廊までは半日暗いみたいで、途中の村で休憩を挟むみたい

「あ・・・」

「ん?どうしたんにゃミニャモちゃん」

「トイレ行くの、忘れてた」

「え?」

 ミナモちゃんが青ざめた顔をしてる

 ど、どうしよう、馬車は今出発したばかりだし、これから休憩所の村まではまだ六時間くらいはかかる

「ミニャモちゃん、我慢できにゃいかにゃ?」

「うう、どうしようミーニャ、さっきまでは緊張してたから全然だったのにぃ」

 泣きそうな顔のミナモちゃん。そう言われてもどうすれば・・・。私には何もできないし、ここはひとつ耐えてもらうしかない

 頑張ってミナモちゃん


 そして一時間が経過した

 ミナモちゃんの顔は今や真っ青を通り越して真っ白だ

「う、うう、もう、だめ」

「ままま待つにゃ! にゃんとかするにゃ!」

 とはいってもどうすれば・・・。そうだ! スキル!スキルだよ!

 えーっとこういう時良いスキルは何かないか・・・

 頭に浮かぶ複数のスキル。その中の一つに転移と言うものがあった

 説明によると、対象の物を別の場所に転移させる能力。生命も可とあった

「お母さん! すぐ戻るから説明お願いにゃ!」

「え? どうしたの急にミーニャ。ちょ、ちょっと待ちなさい説明ってどういう、あ」

 余裕がないからそのままミナモちゃんと一緒に転移して近くの草むらに着地した

「ミナモちゃん、そのしげみなら隠れれるから終わったら言ってね。また馬車に戻るよ」

「あ、ありがとうミーニャ!」

 よほど限界だったのか、茂みに急いで走って行った

 私は音を聞かないように少し離れて待ってる

 探知で魔物がいないことも確認してるから大丈夫


 しばらくしてミナモちゃんがすっきりした顔で戻って来た

 でもあとでパンツは変えないとだね・・・

 も、漏らしては無いみたいだよ! ちょっと出たってだけだからね

「ミーニャのおかげで助かったよ。でもどうやって馬車に戻るの? それに今どうやってここまで来たの?」

「んにゃ、転移というスキルだにゃ。別の場所に瞬時に移動できるんにゃ」

「すごい!」

 馬車の位置は分かってる。私は集中してその馬車に狙いを定めて、再びミナモちゃんと転移した

「うわっ!」

 馬車に驚きの声が響く

「もう! 心配したでしょ! 一体何がどうなっているの!?」

 お母さんに怒られたけど、私は小声で事情を説明した

「なるほど、それは、そうね・・・。仕方なかったわね」

「でしょ? でも馬車の人達に変にゃ目で見られてるにゃ」

「まあ気にしなくていいわ。転移はそこまで珍しいスキルではないもの。魔法使いや魔導士ならある程度経験を積めば覚えれるようになるし。私も覚えているわよ?」

「そ、そうだったんにゃ。お母さんに頼めばよかったにゃ」

「でもありがとうミーニャ、おかげでミナモが恥をかかずにすんだわ」

 うんうん、馬車内でお漏らしなんてこの後ずっと気まずいだろうしね

 そうなることを考えると今少し注目を集めて転移した方がいいと思う


 そこからは特に何もなく無事休憩所の村に到着した

 その村はすごくのどかできれいな場所で、ここも観光名所になるんじゃないかってくらいだよ

「あ、あそこに定食屋さんがあるよ! お母さん、私お腹すいちゃった」

「そうね。あそこで食べましょうか」

 その定食屋はこじんまりとしてるけど、凄く繁盛してるみたいでお客さんが外にまで溢れて食べてる

 外には簡易式のテラス席のような物が設置されてるね

 すぐに私達はその定食屋に入ることにしたよ

 私もお腹すいちゃった

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