学園生活1

 あれよあれよという間に話がまとまって、お母さんは治療院へ入院。しばらくはそこで療養してから癒術師として勉強をし直す。そのあとは公爵家お抱えの癒術師として社旗復帰できそうね

 それからミナモちゃん。彼女は王立マーセル学園の魔術科に通うことになってそれはそれは喜んでいた

 街で花屋をたたむときは街の人達にすごく悲しい顔をさせてしまったけど、幸い王都とこの街は馬車で半日もかからない距離にある。いつでも顔を出せるから学園が休みの時顔を出すことにしたよ

 ちなみに私がしゃべれると知ったら皆驚きつつも喜んでくれた。いっぱいお礼も言いたかったから、このスキルが増えて私も嬉しいんだ

 でもそのおかげで私もお勉強をする羽目に…。いやまあミナモちゃんと通えるから問題はないんだけどね

 学園はまず朝から昼までが座学、昼食をはさんで夕方までが魔法の練習という授業形態で、私が思った以上にゆるそうでのんびりできるかも

 入学式までもう日もないから、公爵にもらったお金で勉強道具やらその他もろもろを今日中に買い揃えるとしよう

 と言うわけで早速街に繰り出した私とミナモちゃんは授業に必要な筆記用具、ノートの代わりになる羊皮紙(紙は高額で手が出せないからね)それと魔術師に一番必要な杖とかね。特にミナモちゃんは魔力が高いから杖は半端なものじゃ直ぐ壊れるらしいし、公爵がちゃんとした大杖を買いなさいと少し多めに出してくれてる

 これだけあれば魔力を安定させれる宝石であるルビーが付いた杖が買えるみたい

 そう、宝石の中には魔力を溜めれる物や増幅させるもの、安定させるものや属性を付与させるものなんてのがあるらしい

 その中でもミナモちゃんの高い魔力を安定して杖に流せるのがルビーらしいんだよね。でも宝石のついた杖は当然値が張るし、大杖ならなおさら

 これ公爵からの援助が無かったら絶対買えてないよ

 ちなみに私は一応魔術科に入るけど杖は要らない、というかこの手じゃ持てない

 まあ魔術師に必ず杖がいるかと言われたらそうでもないみたい。練習すれば杖なしでもちゃんと発動できるみたいだし。と言うか私多分魔法ならある程度使えるんだよね習わなくても

 だから心配はあんまりしてない

「楽しみだねミーニャ。私ミーニャと学園に通えるようになるなんて思ってもみなかったよ。お母さんも病気が治りそうだし。ミーニャが来てからいいことがいっぱいで私幸せ」

「んにゃっふ。それはあたしもだにゃ。最初に着た街がミニャモちゃんのいるところでよかったにゃ。でもあたしは神獣ニャフテスとは関係にゃいからそこだけは理解しててほしいにゃよ」

「うん、でもミーニャは一体どんな猫なんだろうね? 魔物じゃないって言うのは間違いないけど、神獣じゃないなら何なんだろう?」

「にゅあ? 吾輩は猫である!」

「うんそうだね」

 猫だから細かいことは気にしない。神獣とかそうじゃないとかもうどうでもいいや

 だって私はミナモちゃんといられるだけで今幸せなのだから


 数日後、いよいよ学園の入学式の日取りとなった

 公爵は学園長だから早くに家を出たみたいで、私とミナモちゃん、そしてシュシュアちゃんとで学園に歩いて向かった

 シュシュアちゃんとは公爵家で待ち合わせてから一緒になったんだけど、彼女は楽しみで前日寝れなかったみたいで目の下にくまができてた

 あ、そうそう、シュシュアちゃんと言えば彼女を襲った男のことなんだけど、今現在もっか捜索中で、シュシュアちゃんが襲われた場所から冒険者たちが魔力などを感知して追跡中みたい

 ただ魔力反応が普通の人間とは違うようで、何か得体のしれない感じがするから十分注意するよう通達されたらしい

 まあ今は考えても仕方ないし、もしその冒険者たちで太刀打ちできないようなら私が行ってみてもいいかも。何せ友達であるシュシュアちゃんを襲った不届き者だからね

 気を引き締めて私達は学園の門をくぐった

「ちょっときみ! ペットは入れないよ!」

 いきなり門にいた先生に掴まってしまった。通達行ってないのかな?

「あ、あの、この子は」

「ダメダメ、使い魔だとしてもまだ早いよ。ほら連れて帰って」

「少しお待ちください。この子も新入生ですのよ?」

「え? そんなまさか…。失礼ですがあなたは?」

「申し遅れましたわたくし公爵家長女のシュシュア・アルヴァレートですわ」

「お、王弟閣下の!? も、申し訳ありません! すぐに確認してまいります!」

 驚きつつ飛ぶように行ってしまった先生は汗をかきながら戻ってきた

「申し訳ありません! 確認が取れました。新入生のミーニャさんですね!」

「うにゅ、そうだにゃ。一応魔術科に入る予定だにゃ。よろしくご教授お願いしますにゃ」

「なんとまぁ喋れるのですね。いやはや賢い猫もいたものですが、こちらこそよろしくお願いします」

 無事私達は門を通過して入学式に出ることができた

 学園長、もといアルヴァレート公爵の演説が長かったのが印象に残る一日だったよ

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