お人形さんとの生活。あと腐れ縁は早く切りたいです

くすのきさくら

第1話 2月16日 始まりも無言

 まるでこの先の未来を表すかのように、どんよりとした暗い雲を電車の窓から見ながら俺は今実家に向かっている。幸い雨は降っていないが……どうも嫌な予感がしていた。


 現在大学生活の1年目が無事終わり。たくさん遊べそう。とか思っていた大学の長い長いはじめての春休みに入ったのだが……春休みに入ると突然実家から連絡があり。3家族合同会議?やらがあるから。光一を連れて至急帰ってこい。みたいな感じに言われたため。楽しい楽しい春休みは来ず。現在実家に向かい電車移動中。


 移動中で暇なので紹介するが……。


 現在俺の横でスマホのゲームをしている。明るい感じと言えばいいのか。ちょっとチャラい雰囲気というのか。まあ高そうな服着て、なんか派手なアクセサリー付けて、かなり車内でも目立ちまくっているこれが。黄金こがね光一こういちである。


 黄金と書いて「おうごん」ではなく「こがね」と読むが「おうごん」もあながち間違いではない気もする。光一の親はなんかいろいろなことをしている企業?の会長さん?やらやらで、スーパー金持ちの家庭。

何をするにしてもスケールがおかしい家庭なのだが…。


 そんな金持ちの家の奴と、何故俺が一緒に居るかというと。まず実家が隣同士。まあうちは平凡な家なんだが……お隣は敷地がまず10倍くらい。建物もデカイ。

そして光一とは保育園からのつながりがあり。小学校、中学校、高校。おまけに大学まで同じという。なんかもう。ずっと一緒にいる感じ。


 さらに言っておけば、小学校、中学校はクラスもずっと同じだった。まあ高校ではクラス数が多かったので同じクラスにらならなかったが……。

 光一がちょくちょく俺のところにやってくる。という感じで。ずっと繋がりがある。っか繋がりとは怖い。ホント。


 大学に進学する際も、俺は県外の大学を選んだ。

 そして合格するまでは一切大学に関しては光一には話したことがなかったのだが。こいつ。光一もたまたま、ホントたまたま同じ大学の同じ学科に合格していたため――大学も同じという現在だ。

 

 いろいろな意味で俺は泣きたい。

 

 なんでこの金持ち野郎とずっと一緒なんだよ。と。これが女子なら――まあなんやかんや文句言いながら喜んでいたかもだが……男だからな。もうガックリだよ。


 ちなみに大学から合格通知の書類が来てから俺は光一に伝えに行った。一応昔からの知り合いなので進路報告に行ったら……行ったらだ。


「マジかー。ヤベー。もうここまで来ると奇跡だな!俺と弥彦にはなんかあるな。絶対何か切れない何かで繋がってるな。ってことで、また4年間。弥彦よろしくー!いろいろヘルプするわー」

「……」


  そんなことを言いながら光一は俺の持っているものと同じ合格通知の書類を見せてきた「確か……試験の時には光一を見なかったはずなのに……」と俺が言うと。


「あ。俺?学校の推薦?指定校なんとか?だから。ちょっとなんか書いて終わった」


 何故か、いろいろぶっ飛んでいる割に頭はいい?いやうーん。金の力は……だからな。と思うところもあるが。

 とりあえずまあ俺と光一は大学合格へのルートは違った。が同じ大学となった。


 そういえば、今さらっと出てきたが。弥彦が俺の名前。やなぎ弥彦やひこ。この金持ち野郎とびっくりするくらいずっと一緒の幼馴染?とかいうのか。腐れ縁というのか。まあそんな関係。


 先程言い忘れたが最近知った話。実は俺と光一は生まれた日も近い。誕生日はまあ昔から知っていたが。親が出産の為入院していた病院も同じ。部屋も隣同士だった。とかいう事実を最近追加で知った。ホントなんなのか。何度でも言うがせめて女の子であってほしかった。光一のポジションは。うん。女の子希望だ。


 まあ、女の子がいないこともないのだが……。


 


 が居るのだが。それはまたあとで説明だな。


 ちなみ県外の大学なので今の俺は一人暮らしをしている。のだが……まさか光一と下宿先も同じ。ってことやお隣。はないだろう。と思った人もいるかとは思うが…。


 これは一人暮らしをすることが決まった際に。光一の親から頼まれた。結構必死に頼まれたことで『うちの管理しているマンションを自由に使っていいから。うちの馬鹿息子を気にしてやってくれ。馬鹿は馬鹿しかしないからな。頼む弥彦くん。見えないところで何しでかすかわからないからな。頼んだ』とか言われた。


 昔から家族ぐるみで光一のところとは仲がいいため。親同士もかなり仲がいい。

そして光一関係の事というのか。光一の見張りみたいなお願いは当たり前のようによく光一の親から来る。頼まれる。

 なんか中学生くらいから頼まれだしたような気がするな。


 ちなみに親からも馬鹿息子。とか言われているのは、理由があるのだが……これはそのうちわかるだろうから。楽しみにしておいてもらうとしよう。

っかすぐに馬鹿の行動が見れるかもしれないし。

 わざわざ過去の事を説明する時間がもったいない。ほんと昔から変わらずの馬鹿野郎だからな。いろいろと。


 そういえばだが。光一の親とかからの俺の評価はなぜかかなり高い。


 『弥彦くんなら安心してまかせれる』や。『柳とこは、どう育てたらこんないい息子なるんだ?』とか。『弥彦くんみたいにしっかりした息子が今すぐ欲しいよ』などをよく言われる。

 俺は普通。どこにでもいる人間だと思うんだが、とくになにか秀でるものもないし。何しても平均くらいになる普通の人間なんだがね。

 周りからはそんな評価をされている。

 ちなみに自分の親からは……『手のかからない超楽な子供』らしい。

 

 後は――そうそう先程マンションやらやらの話があったと思うが。

現在の俺の住処は大学から少し離れたところにある。7階建てのマンションだ。

これが光一の親が管理?やらしているところで、俺は光一の監視。定期報告する。ということで最上階に2つ部屋があるのだがそのうちの1つ。702号室が俺の部屋だ。そして701号室が光一の部屋と。まあ隣同士となっている。


 ちなみに光一の親が管理しているので、俺はタダで使わせてもらっている。

ぶっちゃけ。なんかすごくいい生活を1年間している。

 部屋が1人にしては広すぎる感じだったが。狭いよりははるかに良いし。バルコニーまであるのでかなり快適。

 もうホント光一の親には感謝感謝感謝である。

 なお光一には、感謝の必要なし。かなりこの1年だけでも振り回されたしな。


 まあ今までのことはこれくらいにして1年生の春休み。急に俺達2人が実家に召集された。現在の事に戻ろう。





 お人形さんはまだ登場すらしていません。

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