引きこもり生活を続ける男性が、アパートの外すべてが滅亡していることにも気づかず、日々性的なイラストを制作し続ける物語。
本当に一字一句違わずタイトル通りのお話です。あるいはそれ以上というべきか、事前に想像していたよりもスケールの大きな物語。タイトルだけだと一見コメディっぽくも見えるのですけれど、その実お話そのものは別にふざけているわけではなく、むしろ思いのほかシリアスな内容であるように思います。寓話的、というか、ある種ショートショートにも似た切れ味のある作品。
物語の終着点、結びの部分のいわゆるサゲ(オチ)が好きです。さすがに具体的には触れられないのですけれど(ネタバレになるので)、絶妙な捻りの効き方が心地よかったです。また加えて言うのであれば、何も最後に限った話でなく、この捻りの効き方が全体を通じて活きている、という点も。
タイトルから想像される状況のバカバカしさと、そこに何ひとつ嘘のないこと。にも関わらず真面目なお話が展開されてゆくという、このある種のギャップのような独特の諧謔味。ふざけているのにふざけてない、真面目であっても決して肩が凝らない。どこか余裕のようなものを感じさせる、この作風そのものが嬉しいお話でした。