第33話「技くらべ 8・天仙」
【2回戦・準決勝】第2試合
フィーア VS
「でかいな〜東南アジアには、ここまでデカいストリートファイトはいなかった。とりあえず離れて攻撃するか」
フィーアは身長210cm、毛堅仙人は身長182cm、体格差は歴然である。
毛堅仙人は縮空で気弾を撃つ!
何発も何発も撃つ。
「ダメか……黒いマントで全部弾かれてしまう。ならば肉弾戦か!?」
さっそうとフィーアに殴りかかる。
胸、腹と打ち込む。
フィーアは受けている。
「効かないのか!? まさに化け物だな……」
毛堅仙人のパンチを余裕で受けるフィーア。今度は攻撃に転じる。毛堅仙人の前で飛び上がり体を回転させて、飛び後ろ回し蹴り! これが顔に当たり毛堅仙人が吹っ飛んだ。
「お~~~っ!」
フィーアの綺麗な飛び後ろ回し蹴りが決まり観客が湧いた!
フィーアは怪力だけではなく、格闘技も習っているようだ。
「まいったな、こいつ格闘技も習っているのか!? では、これはどうだ!?」
毛堅仙人はフィーアの右肘の内側を殴った。
毛堅仙人はヌンチャクの練習中に右肘の内側にヌンチャクをぶつけてしまい、偶然に腕がしびれてしばらく動かせなくなることを知った。
「これは、点穴の技か!?」
その後、ストリートファイトで練習を重ね、右手で相手の右肘を打ち、左手で相手の肝臓を打ち、頭が下がったところで顔やアゴを打つというコンビネーションを習得した。
フィーアは右肘を打たれてしびれている。
肝臓へのパンチも決まった。
フィーアの頭が下がりアゴへのパンチも決まったが倒れない。
「しぶとい奴だな。タイで覚えた、この技ならどうだ!?」
毛堅仙人はフィーアの首を両手で抱え膝でアゴを蹴った。
まだ倒れない。
「仙術魔法、金剛の術! 膝を金剛石にする!」
金剛石(ダイヤモンド)となった膝で、もう一度、首相撲からの膝打ち!
さすがに、これは効いて、フィーアが後ろに吹き飛んだ!
レフリーのカウントが始まる。
ワン、ツー ……
カウント、ナインで立ち上がり、何かブツブツと言っている。
毛堅仙人が苦しみ出している。
「魔族魔法、奥義、アポトーシス!」
赤いケムリが毛堅仙人に向かう。
「ダメだ! その技は禁止だ!!」
レフリーが赤いケムリを仙術で消した。
「フィーア、殺し合いじゃないんだ、アポトーシスは禁止技だ!」
「うるさい! こいつは殺してやる!」
レフリーを突き飛ばし、赤いケムリを毛堅仙人に浴びせる。
「フィーアの反則負け!!」
レフリーが毛堅仙人の勝ちを宣言する。
「俺、別にかまわないっすよ、その何とかって技」
毛堅仙人はまだ戦おうとしている。
「毛堅仙人、魔族をなめたら危険だ! アポトーシスは自分で自分の細胞を殺す魔族の呪術だ、術をとくのは困難だぞ」
刻仙人は真顔で毛堅仙人をさとす。
「なんてことだ! 魔族の代表が二人とも反則負けとは不甲斐ない! 会議にかけて処分してやる!」
観客席で試合を見ていた魔族の代表がビールジョッキをテーブルに叩き付けて怒っている。
退場するフィーアは、おさまりがつかず帰り際に口から赤い毒を観戦している者に向け吐きつけた。
毒を吸った者達は、バタバタと倒れる。
「ジジイ、どけ!」老人に赤い毒を吐きつけた。
「若いの、マナーが悪いぞ。
老人は何もしていない。しかし、フィーアの動きは止まり、力が抜けたように地面に座りこんで前のめに倒れた。
「
フィーアから、かなり離れた所にいる真蔵仙人が驚きながら久米仙人に話しかける。
「あの方は、天仙じゃ! 馬鹿な奴じゃな、あの魔族……殺されたかな?」
付き添いで来ていた魔族のジュベルが老人に平謝りで謝っている。
フィーアも気がつき、土下座して謝っている。
「どうやら術を解いてもらったようじゃ」
「久米仙人、いまのは何をしたんですか?」
真蔵仙人がたずねる。
「恐ろしい技じゃ、細胞の中のミトコンドリアの動きを止める呪術じゃろう」
「そんなことができるんですか……」
「天仙でなければできない技じゃ、フィーアのやったアポトーシスと同じ種類の技でミトコンドリアの動きを急停止させるんじゃ。すると、体を動かせなくなり、免疫も働けなくなり、3日もすれば肺が腐り始めて1~2週間ほど苦しみながら死んでしまうじゃろう……あのデカい魔族はミトコンドリアを止める事で、謝る猶予を与えられたのかな? 心臓を止める方がよほど簡単じゃからな」
「天仙にとっては、魔族は怖くない存在なんですか?」
「わしら神仙と魔族の戦いなら、けっこういい勝負なんだが、天仙だと世界が破滅してしまう」
「それは核戦争のような……」
「そうじゃ、例えるなら天仙の大神通力は核ミサイルみたいなものじゃ、大神通力で縮空を使えばブラックホールが作れて、昔、町がいくつか消えたらしい……もっとも、魔族にも似たような力を持ってる奴がいるらしいがな……」
◐仙術裏話。
人間の体は糖分とミトコンドリアが作るATPという電気で動いているらしい。
万が一、ATPが作られなくなれば停電状態のようになり人間は生きていられないだろう。
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