第6話 アースオーガ
Sランクパーティーであるガライたちは、他の冒険者をつれてトールア洞窟という場所へとやって来ていた。
ガライたち以外はBランクの者が6人。
ここに来た目的は二つ。
純粋に仕事のためと、もう一つは彼らにいいところを見せようと思ったことだ。
薄暗い洞窟の中を進んで行くガライたち。
6人の冒険者たちがガライたちの前を歩き、雑魚モンスターたちを切り伏せていく。
「中々やるみたいだな、お前たち」
「ガライさんにそう言っていただけて光栄です! まさか【聖剣】のガライさんと冒険できるなんて夢のようです!」
「そうか。お前たちも頑張ればいつかSランクになれる。それまで精進し続けることだな」
「はい!」
ガライは腰に帯びた聖剣バーンダイトをさすりながら彼らと会話をしていた。
聖剣というのは、ある一定以上の戦闘力を有する者だけが引き抜けると言われている武器のこと。
バトルマギにはその性能によって7段階のレベルが設定されており、このバーンダイトのバトルマギは【炎】のレベル5。
高レベルのバトルマギを発動させるためには、それなりの実力が必要であり、これを引き抜けるというだけで、高レベルの冒険者だというのが周知の事実である。
そんな聖剣を振るうガライに付けられた通り名が【聖剣】だ。
ギミーとグレスもそのガライに並ぶ実力者と注目を浴びる冒険者。
Sランクの3人が一緒にいてくれる。
それだけでBランクの冒険者たちは安心して洞窟を進んでいられるし、夢心地でもあった。
ギミーがタイマツを片手に、ガライとグレスらと談笑しながら洞窟を歩いていく。
「ガライさん!」
「なんだ?」
突然、前を歩く男たちが大騒ぎをし、ガライの背後へと逃げるように駆けて来る。
「み、見たことないモンスターがいます……」
「見たことないモンスター?」
ガライたちが前方に視線を向けると、そこにいたのは2級モンスター、アースオーガ。
ゴツゴツとした岩の肉体を持ち、その身長は4メートルを超える。
岩造りの鬼の表情は威圧感を覚え、冷たくおぞましい空気を放っていた。
「ああ。アースオーガか」
2級モンスターは、Aクラス冒険者が一対一で勝てる程度の戦闘力ほどだと言われている。
となれば、Sランクである自分が相手となれば楽勝もいいところだ。
ガライはこちらを睨み付けるアースオーガを、ニヤニヤと不快な笑みを浮かべながら見据える。
「ガライ、こんなぐらいなら一撃で終わるな」
「そうだな。俺がやらなくても、お前たちだけでも十分だと思うがな」
「でもあんたの実力見せるいい機会じゃない?」
「ふん」
ガライはギミーの言葉を聞き一歩前に出て、聖剣に手を添える。
そして背後にいるBクラス冒険者たちに前を向いたまま言う。
「お前たち! 俺の実力をよーく見ておけ! そしてアースオーガよ! 俺と出逢ったのが運の尽きだ。静かに屍となり朽ち果てるがいい!」
グッと聖剣を持つ手に力を込めるガライ。
ニヤッと口角を上げ、聖剣のバトルマギを解放する。
「聖剣抜刀!」
聖剣を引き抜こうとするガライ。
しかし、その刃を抜くことができなかった。
「あ、あれ? 抜刀! 聖剣抜刀!」
何度も剣を引き抜こうとするが、聖剣バーンダイトはうんともすんとも言わない。
それを見ていたギミーとグレスはケラケラ笑いながら、それぞれ武器を引き抜いた。
「何やってんのよガライ。今日は調子悪いんじゃない?」
「キキキッ。珍しいこともあるもんだな」
ギミーは杖を、グレスは槍を手にアースオーガへと攻撃を仕掛ける。
グレスは正面からアースオーガの胸へと槍を放つ。
が、
「え……?」
いつもなら2級モンスター相手の場合、紙にペンを通すぐらい簡単に貫けるはずなのだが、その硬い皮膚に槍が弾かれてしまう。
唖然とし、思考を停止させてしまうグレス。
ギミーはその反応にまた笑いながら、魔術を放つ。
「【ウインドカッター】!」
大型の杖から放たれる風の刃。
しかしその刃もアースオーガの体に跳ね返られるだけに終わった。
「え……ええっ?」
呆然とするガライたち3人。
アースオーガは目の前で固まっているグレスの顔面に拳を叩きつける。
「ぐぎゃ!」
「ひぃ!!」
一撃でグレスの顔面が吹き飛んでしまい、悲鳴を上げるギミー。
血に染まったアースオーガの拳を見上げ、ガライとギミーは顔面蒼白となり咄嗟に逃げ出してしまう。
「ちょ、ガライさん!?」
「どうしたんですか?」
背後からBクラス冒険者たちの唖然とした声が聞こえてくるが、それを無視するかのように全力で走るガライとギミー。
何故だ? 何故なんだ?
いつも通りの実力を出せないこと、そしてあっさりグレスが死んでしまったことに二人は混乱しきっていた。
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