第6話 湊先輩こっち向け作戦①
「“ボッチ問題”は解決したから次は“湊さんに知らんぷりされてる問題”を解決しないといけないね!」
先ほど友情の証として交わされた握手のポーズのまま、千早が華菜の手を両手で握りながら、顔を近づける。
華菜の頭の中には1つ目の課題に関しても、まだクラスで浮いているという問題が残っているのでは? という疑問が残ったが、2つ目の課題に比べると些細な話なのでスルーすることにした。
「とはいえ、こればっかりはどうしようもないんじゃない? なんで覚えてないふりしてるのかもよくわからないし……」
「記憶喪失になったとか?」
「うーん……卒業後のあの人のこと良くわからないけど、雰囲気は当時のままだし違うんじゃない? それに記憶喪失になるような事故に遭ってたら事故から2,3ヶ月でうちの高校に合格するなんてできないだろうし」
「そっかぁ。じゃあなんだろうね?」
「なんだろうねって言われても特に心当たりはないし……」
千早は少しの間うんうん唸って考えていたが、特にそれっぽい考えは浮かばなかったようで話題を変えた。
「華菜ちゃんとしてはこれから湊先輩とどういう関係になりたいの?」
「どういう関係ってそりゃ、一緒のチームで野球をする関係じゃない? 私としてはとにかく湊由里香をもう一度マウンドに戻すことが一番大事なんだし」
「そっかぁ。じゃあちょっと作戦会議しよっか」
「作戦会議?」
千早はやけに楽しそうだった。なんの会議をするのか内容を聞いておきたかったが、ちょうどチャイムが鳴ってしまったため、そこで話は終わってしまった。華菜は千早が何を考えだすのか不安な気持ちを残しつつも、千早と別れ教室へと戻ることにした。
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