「ぜぇ、ぜぇ、すまねぇクリス。やっぱりこのスキル消耗が激しいわ」

カイは相当消耗してしまったようだ。

「あ・・とう」

クリスの声はとてもか細く、聞き取りづらかった。おそらく喉が火傷してしまっているのだろう。

「みんなのところに帰ろう」

二人はお互いを支え合いながらレオ達の元へ向かった。二人が到着するとすぐに治療を受けるようルーインが手配してくれた。カイの方は少し休むと元気になっていたが、クリスは全身に火傷を負ってしまっていて、危険な状態にある。喉も火傷してしまっていて、話すことも難しいみたいだ。

「レオ、俺はみちまったんだ」

「何をみたの？」

「俺らが追うはずだったあの女が、炎の精霊みたいになってクリスを襲っているところをだ」

「なんだって？」

「会話の内容はよく聞こえなかったが、あの女が何か相当怒ってるみたいだった」

「じゃあ、ルーインのことを殺そうとしていたんじゃなくて、クリスのことを殺そうとしてたってこと？」

「おそらく。確証はないけどな」

「一体何があったんだ。クリスはまだ危険な状態で声も出せないし」

「とにかく、ここからは二手に別れようぜレオ。お前はクリスのことを守っててくれ。俺はあの女を探す。いざとなれば疾風で逃げられるからな」

「カイ、危険だよ。クリスの回復を待とう」

「いや、これはぐずぐずしていられないと思うんだ。なぜあの女が館の中にすんなり入ってクリスを襲えたのかも気になる。そこはレオに任せるよ。そして、あの女の強力な力。あれだって相当に体力を消耗するはずだ。でなきゃ、俺たちが捕まえた時に使っていてもおかしくないからな」

「わかったよカイ。守りながらも攻めようってことなんだね。でも、本当に気をつけて行動してくれよ。僕たちは一緒に仇を討ってまたあの家に帰るんだからね」

「わかってるよ。それまでは死んでも死なねぇよ」

そう言うとカイは、リュックと食料をルーインにもらって夜の街へと消えていった。

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