第23話 視線

門をくぐるとそこには素晴らしい光景が広がっていた。家はどれも白いレンガ造りで屋根の色は赤やオレンジなどの明るい色が多くとても鮮やかだ。道には石畳がしかれていてちゃんと舗装されている。街を大きな壁がぐるりと囲んでいて東西南北4箇所には大きなもんがそれぞれ設けられている。おそらくどこの門にも警備隊がいて検問をしているに違いない。その門から中心に向かって大きな通りがあり、そこから小さな道が枝分かれしている。街の中心の小高いところには大きな屋敷がある。きっとそこが領主の館であろう。一際大きくて壁が黒いので威厳を感じられる建物だ。レオ達は西の門からこの街へと入ってきた。


「この街は4つのエリアに別れているんだ。」


そう言うとルーインはお付きの者に言って街の地図を持ってこさせた。


「このように大きな通りを境にして扇形のエリアが4つできる。この街が円形の門に囲まれているからね。それぞれ力を入れていることや役割が違って、商業、軍事、物作り、農業と言ったようにね。この西門から入ると右手に農業エリア、左手に商業地域が広がってる。商業エリアの隣は軍事、つまり騎士たちが駐屯している。この騎士たちは王都から来ている。そして農業と軍事エリアに挟まれるようにして職人達のエリアがある。そしてそれぞれのエリアの人々は真ん中にある領主館をぐるっと囲む円形の道 を主に通って交流している。もちろんほかにも道はあるがね。向かいのエリアに行くとしたらそれが一番近道だろうね。」


「騎士たちを1箇所に集めると守りが薄いエリアが出てくるんじゃねーか?」


とクリスが尋ねた。


「それには心配は及ばないよ。それぞれの門のちかくにも騎士たちがいる。その騎士たちの家や本部があるのがそこのエリアということなんだ。」


「なるほどよくできてんな」


「それぞれ助け合って街を発展させてくれてるよ」


ルーインが街の説明を一通り終える頃には一行は領主館の近くまできていた。みんなが領主館の立派な外観に簡単の声を上げている。しかし、レオは視界の端に違うものを見つけた。少し前から何か視線を感じていたのだ。カイもそれに気づいていたようで2人は目配せをして、


「ごめん先に行ってて。僕達もう少し商業エリアを見てくるよ。」


と言った。


「そうか、気を付けるんだぞ?」


と、クリス。


「うん! わかった。」


そう言って2人はその視線を感じた方へ走り出した。


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