お礼に新しい布を(カンナ)

私は今、吟遊科に来ています。

私が吟遊科に来たのは少し前に洞窟探索の授業でトラブルが起きた時にレイガ様と一緒に居た吟遊科の子が私に布をくれたのでそのお礼に新しい布を渡そうと思ったからです。

(あの子は何処でしょう?他の方に聞いた方が良いかもしれませんが、吟遊科の方は皆さん幻想的で美しいので話しかけづらいですね)


「あれ?君は治癒科の聖女さ、、イヤ、治癒科の子だよね?どうしたの?」

「その、少し前に吟遊科の子にお世話になりましたのでお礼をしましょうと思いましてその子を探しているのですが、、その、」

「あ、見当たらないの?」

「はい」

「名前は?知らないなら、どういう子?」

「名前は分からないのですが、レイガ様とパーティーを組んでいました」

「え!あー、その、今は席をはずしてていないんだ。その、ちょっと聞きたいんだけど、あの子に何のお礼をするの?」

「お礼ですか?この布を渡そうと思いまして。実はこの前の洞窟探索の授業で私の服がボロボロになってしまったのですが、その時レイガ様と一緒にいらした彼女が私に綺麗な布をくださいまして、私とても助かりましたので、新しい布を渡したく思い来たのですが、今はいらっしゃらないのですね」

「あー、あの子いつ帰ってくるか分からないから、良ければオレが渡しとくけど?君の物なら大丈夫だろうし」

「?申し訳ありませんが、お願いいたします」


最後に良く分からない事を喋っていましたが、吟遊科のお人に布を渡して私は吟遊科の教室を出ました。



「会えなかったのは、少し残念です」


彼女ときちんと話した時、彼女はレイガ様の片腕に座る様な形で抱き上げられていました。

彼女の顔立ちは分からなかったけれど、彼女からは神秘的で美しい印象を受け取りました。


「彼女はどんな方なのでしょう?」


レイガ様は彼女がとても大切なモノの様にずっと腕の中で守っていたのも印象的でした。

いえ、レイガ様にとって彼女は大切な方なのでしょう。


「また、あの子に会ってみたいですね」


私はまた、優しい彼女にもう一度会いたいと思いながら治癒科の教室に向かいました。



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