おともだち

勝利だギューちゃん

第1話

ヒュー、ヒュー


外は風が吹いている。

カーテンを閉めているので、外の様子はわからない。


開けたくない。

眠い。

起きるのだるい。

このまま、寝よう。


今日は、休みだ。

俺の眠りの邪魔はさせない。


ヒュー、ヒュー。


うるさい。

静かにしろ。


もしかしたら、雪が降っているのか?

いや、関係ないだろう。


ヒュー、ヒュー。


わかったよ。

開ければいいんだろ?

開ければ・・・


カーテンを開ける。


風が吹いている。

木が大きく揺れている。


女子高生が、身を寄せて歩いている。

でも、スカートは短い。

極端に短い。


寒くないのか?

理解が出来ない。


納得したか?


ヒュー、ヒュー。


わかったよ。

遊んでやる。


「遊んでやるは、失礼ね。来てやったのに」

「頼んでない」

「じゃあ、外行こう」

「やだ。寒い」

「子供は風の子だよ」

「俺は大人だ、大人は火の子だ」

「私からしたら、子供だよ」

「お前の、立場なんざどうでもいい」


子供の頃は、風とお友達。

でも、大人になると、火とお友達になる。


「冷たいな」

「人間は、そうやって大きくなるんだ」

「じゃあ、雪を降らせよう」

「降らせてどうする」

「かまくらつくるの」

「かまくら?」


なぜ、かまくらを・・・

知っててもいいか。


「で、その中にはいるの」

「うん」

「そしたら、私も君も大満足」

「ふむふむ」


一理ある。


「じゃあ、降らせるね」

雪が積もる。


「さあ、かまくらを作ろう」

「出来たら、起こしてくれ」


『君がつくるの。私は風の精霊だから、作れない』


精霊というのは、わがままである。

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