二学期が始まり思うことは……


 九月一日、帝国第一高等女学校も二学期を迎えました。

 なんとかダイアナ様は編入試験に合格、晴れて帝国第一高等女学校の一年生になりました。

 今日は午前中だけ、半ドンです。


 1限目は始業式で潰れます。

 2限目は理科、一年生は植物です。


「今日からは細胞についてです」

 女性教師は丁寧な講義を始めました、その後、

「いまから実習ですよ、顕微鏡で覗いてみるように」

 学校に10台程しかない、貴重な光学顕微鏡で、細胞など覗くのです。

 倍率600倍の顕微鏡、そうとうお高いのでしょうね……


 概ね、女学生には理科の授業は不評ですが、私は好きなのですよ♪

 前世、このようなことはしたはずですが、長く社会人をしていると、完璧に忘れています、そういう意味で、これは新鮮な感覚なのです。


 3限目は数学。

 一年生は算術だそうで、今日からは『約数・倍数』に入るようです。

 十三歳の一年生に対して、えらく格調高い文章では……


 正直に言えば、簡単すぎて眠たくなるのです。

 その上、このような問題を解こうとすると、『解析』が自動起動して、解答が浮かび上がるのです。


 この間、試しに、『ヒルベルトの第13問題、一般7次方程式を2変数の関数だけで解くことの不可能性』を解析したら……ウラジーミル・アーノルドさんの解法が浮かび上がったのです。

 こんなの、私が解いても人生に何の益にもならないわよ!

 これ以上は封印です!ろくな事にならない!

 私は十三歳の小娘なのよ!


 まぁ、この先、学校生活では役に立つでしょうね……

 教科書、斜め読みしたら、理解出来てしまいましたから……

 

 4限目は歴史……

 帝国の歴史なんて、面白くもないのですよ……数千年の歴史があるのですが、ほとんど進歩もなく、三大国もそのまま続いているのですから、変わったことなどないのです。

 戦争と云っても局地戦、国家の総力戦など一度として無かったようで、それゆえ進歩もない……

 近代戦に必須の、飛行機と戦車もないようです……そもそもガソリンエンジンが影も形もないのですから、推して知るべし……


 帝国成立以前の歴史は、一律に神話伝承になります。

 どうもこの世界は、一度滅んでいるのではと、思えてならないのです。

 それも、私の居た前世が、その滅んだ世界では……


 何故かというと、シェークスピアの物語が、神話になっているのです。

 勿論、ストーリーが同じというレベルですよ。

 さらにいえば音楽あたりでも、このような現象があります。

 バッハなんてのも、伝説の古典音楽となっているのです。


 そこでこのシェークスピアもどきの神話を、『解析』しようとすると……『解析不可』と出るのですよ。

 『解析不能』ではないのですよ……

 バッハも同様でした。

 これはもう、神様が封印していると考えるべきでしょう……

 首を突っ込んではいけません!


 私は『普通の女の子』、可も無く不可も無い、女の子として平凡な一生を、送りたいと願っていたのです!

 現在、『普通の女の子』はもう無理、でも『幸せなどこにでもいるお姫様』なら、波風のない人生を過ごせるのでは……

 そう思っています。

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