『レズ』も認められる世界である
夕食前に、家に送って頂きました。
兄と慶子様が、心配そうに待っていました。
「雪乃、大変だったね」
「お兄様、緊張して……でも皇太后様も皇后様もお優しくて、ご一緒にお茶をしたのよ♪」
「ほう、で、失礼なことを言わなかっただろうな?」
「どうして奨学生試験を受けたのかと聞かれたの、だから、お兄様に言ったことを、そのまま申し上げたのよ♪」
「そうか……」
「まぁ、とにかく食事をしよう、私からも話しがある」
ちょっと、真剣な顔の久光お兄様です。
「慶子様、ハルも、一緒に食事をしよう」
慶子様もハル様も、少しばかり緊張しておられます。
大体想像ができますね、いままでハル様は食事に同席などされなかったのに、今回は慶子様と同じ席に着くのです。
これはハル様の話しですね。
「雪乃、慶子様は私の妻になる方とは知っているね」
「はい、存じております」
「その妻になる慶子様と相談して、許しを得たのでお前に話すのだが、ハルは私の愛人なのだ」
「先日、執事さんとお兄様のお話を聞きましたので、存じております」
「そうか」
「ハルを妾とする」
「そうですか、ハル様、おめでとうございます」
私、丁寧にご挨拶しました。
「雪乃お嬢様……」
正式には慶子様とご結婚なされた後、正妻となった慶子様が、『妾届け』に、承諾の署名をして、戸籍掛りに提出して、始めて妾となります。
また、妾は妻の承認が必要で、戸籍の妾欄として記入されます。
このとき、始めて知ったのですが、妻は夫の妾とですね、『S』が黙認されるということです。
つまり、妾になるには、夫に正妻が存在し、その妻と『懇ろ』の関係にならなければ、承認されない……これが『ミズホ』の国の習慣なのです……
事実、姉妹で妻と妾はあり得ない……姉妹で共に妾は良くある話し……
よくあるのですか!
「その……慶子様とハル様は……」
「雪乃さんが来る前にハルさんとは『S』として、口づけは交わしましたのよ♪ね、ハルさん♪」
「もう……雪乃お嬢様の前で……」
「構わないでしょう♪妻になれば久光様に二人でね♪」
「これ、二人とも、雪乃はまだ子供なのだぞ!」
病んでる!この二人は病んでいる!お兄様も平然としているが変態だ!なんで、こんな世界に転生することになったのか!
神様の条件、
『汝の転生する世界も条件によっては『レズ』も認められる世界である』
心底、この言葉の意味が理解できました!
この後、私のことは国家の機密、ということになりましたが、翌日から朝比奈邸と帝国第一高等女学校の前に、憲兵隊の分署ができました。
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