第4話 救われない想い
先輩がどんどん私のスマホから伸びていく腕を切っては絵を治していく。でも、こないだのようにすぐに治らないことに私は疑問を感じていた。
「何でそんなに時間かかってるんですか!?こないだみたいにやっちゃってくださいよ!!」
「だから言ったろ!こないだのは俺の知ってる絵だからすぐに治ったけど今回みたいなのは時間がかかるんだよ!!…っ!」
戦いながらも答えてくれる先輩だが、私はただ腕を引きつけ逃げることしかできない。私なもっと力があれば…。
やっと絵が治った時、先輩は私に向かって一言こう言った。
「絵は治ったが、これを描いたのはお前の友達じゃなくて絵取り主の方だ。」
「どういうことですか?」
私の頭にははてなしか浮かばない。
「言ってなかったが、怪異に呑まれた時、飲み込んだ怪異が絵を描く時があるんだよ。それは時間切れの合図と思ってくれていい。そうなったらもう、呑まれたやつはあの中から出てこれない。あの絵の一部になっちまうんだ。」
「つまり、須藤さんは…。」
「もう戻ってこない。数日もしたらこの世にいた痕跡すら残らないだろうな。」
「私が…!あの時ちゃんと気づいていたら須藤さんは助かったんですか??ちょっとの違和感で終わらせてなかったら…。私は友達を見捨てたんですね…!」
涙が溢れて止まらなかった。あの時すぐに先輩に相談していればよかった。
「お前のせいじゃねえよ。むしろ気づける方が稀なんだ。」
「…先輩。私を継子にして下さい。もう、逃げてるだけなんて嫌です。私もちゃんと戦いたい。誰かが思い出の中から消えていくなんて…辛すぎます。」
私は御子になる事を決心した。姉の時の事だけじゃない。目の前で誰かが消えていくなんてもう懲り懲りだ。
「…分かった。ただ、楽な道じゃねえ。覚悟はあるのか。」
「覚悟はあります。私は、たくさんの絵を治していきたい。」
そして、私の御子への道が本格的に始まっていった。
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