第1章 エピローグ

 あれから数日。透子はまだ目を覚まさないが、神社の御子様の力を借りて回復してきているらしい。もう少しでまた目も覚ますだろうとのことだった。

 目を覚ましてはいないが、息をしている透子の様子を見て、ああ、帰ってきてくれたんだと実感する。

 そして、絵取り主様が本当に存在することも。


 ある日、私はあるところに向かっていた。


「ごめんくださーい。…」


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 夕方、布都遼介が帰宅すると驚きの光景が広がっていた。


「あ、おかえりなさい!布都先輩!」


「何でお前がここにいるんだ…。」


「布都先輩にお礼が言いたかったんです!姉を助けてくれてありがとうございました!御子みこ様たち曰くもう少しで目も覚めるとのことでして。本当にありがとうございました。」


 私はありったけの感謝の思いを布都先輩にぶつけた。


「お、おう。んで、お前のその格好は何だ。」


「これですか?実は私、この神社で巫女みこをすることになりまして!」


「なりまして!じゃねえ。何がどうなってそうなった。」


「実は神主さんから、巫女の募集をしていると聞きまして。私も絵に囚われている人を救いたいと思っていたんです。微力ですが何か助けになればと…。」


「それで巫女か。残念ながら、巫女になってもすぐには現場には出してやれねえぞ。修行を積んで御子になってからだ。そうじゃなければ人を助けるどころかお前が死ぬ。まあ、せいぜい誰かに継子つぐのことしてしつけてもらえよ。」


「あれ?先輩聞いてないんですか?私、先輩の継子になることになってますよ?」


「あ?聞いてねえぞ。誰だそれを勝手に決めやがったのは。」


「住職さんです!」


「親父か…くそっ!俺は引き受けねえからな!」


「まあたあ、そんなこと言ってなんだかんだ面倒見てくれるでしょう!よろしくお願いしますね先輩!」


 布都先輩は助けるんじゃなかった…とブツブツ言いながら本堂に帰っていった。こうなんだかんだ文句を言いながら私に稽古をつけてくれるのが布都先輩なのだろう。


 私の絵画療法師としての生活は始まったばかりだ。







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