絵画療法師
李都
第1章プロローグ
昔々の昔から、語り継がれるものがたり。中でも怪談話は気をつけたほうがいい。
面白半分で首を突っ込もうなどしてはならん。本当に、お前の存在を消されてしまうかもしらんからな…。
ここに伝わるのは、『絵取り主様』のお話。名前の通り『絵』に取り憑く怪異である。描いたものの思念に取り憑き、作者だけでなく、絵に魅了されたものまで絵の中に閉じ込めてしまうのだ。
閉じ込められた人間は徐々に存在が消え始め、最初からいなかったかのごとく消えて無くなる。まさに消えるのだ。
たかが絵だと油断してはならない。中には怪異が混じった絵もあるのだと、ゆめゆめ忘れることなかれ。
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