第17話

 莉菜に振られた時、俺は受け入れる事が出来なかった。

 けれど、莉菜の……。


「これからは私の事は忘れて、ファンを大切に思って」

 

 この言葉を聞いて、俺は、莉菜を引き留める事が出来なくなった。

 自分の今いる立場を思い知らされたような気がした。

 デビューとはそれまでに重いものだと……今まで通りに、何もかも行かないのだと……。

 莉菜も大事でファンも大事で。

 どちらも大切な俺は、何を選択すればいいのか、わからない。

 一段、階段を上がって初めて見た景色が、自分の心の中に暗い影を落としたのだった。

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