第二章 過去

第21話 棚岡隆也とハル先輩-1-

幾分かは楽になったものの


心にしこりは残る



今日は足立さんがバイトで僕は休み


彼女がバイトへと家から出ていき1人になったところで僕は電話をかける


数少ない同世代の友達の棚岡隆也(たなおかりゅうや)へと


たなりゅーこと棚岡隆也は中学の時よく遊んでいた一つ年下の、近い世代では1番仲の良い友達


中学二年の時、関西から転校してきた


父親の友人の息子で、紹介されてすぐに意気投合して仲良くなった


思えば、すぐに意気投合して仲良くなった友達なんてたなりゅーくらいだろう


関西人ならではのノリの良さと、正統派なイケメン、絶妙なコミュ力から来るであろう距離感

おまけに当時中学1年で170cm近くあり、今では180cmを超えるモデルスタイル



しっかりしてるし、後輩と言うより同い年の友達のような感覚だ


進学してたなりゅーは近い学校を選び、それぞれのの生活もあるから昔ほどでは無いけれど今もそれなりに定期的にやり取りはしている



たなりゅーにはまだ足立さんの事は言っていなかった


数ヶ月ぶりに電話をしていきなりこんな話か、、とちょっと気恥しさをもったが、彼以外に浮かぶ人が居ない


数コールすると、おつかれっすーと元気な声が聞こえた


「久しぶり、今時間大丈夫?」


「大丈夫っすよ、どしたんすか数ヶ月ライン一つもよこさんと急に電話してきて、なんかあったんすか?」


取っ掛りへのテンポが早い


「うん、実はなんかあってかけた」


「なんぞやらかしたんすか?」


「いや、そういうわけじゃないんだけど、、」


足立さんとクラブで遭遇してから今日の事までを包み隠さず話した


「え、なんすか、ちょっと踏み外しちゃった青春してるカップルのノロケですやん。半分報告ですやん。てゆうか相変わずのようっすね雪君は、2度も同じような事を。ほんとご苦労なこって」


悪戯っぽくたなりゅーは言った


「全然違うから、だから皐月さんにある程度打ち明けたはいいけど、、どうしようって」


「ふーん、、難ありの雪君に2人も絡む女子がねえ。しかもハル先輩以来の。」


なんか聞き捨てならない単語があった


「なんだよ難ありって、てかハル先輩、、、」


「だって雪君難ありですやん。まあ事故物件とまでは言わへんけど。現にこの5年ハル先輩だけでしょ。雪君が女の子に深く関わったのって。つるむんもお兄さんの周りばっかで、同世代とか俺だけですやん。


「ちょ、ここでハル先輩の話しを、、たなりゅーお前って奴は、、、」


「分かりやすいでしょーに。」



ハル先輩、、中学2年の時に知り合って、卒業まで1年半あまり深く関わった人



僕の初恋で【初めての人】だった

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