散々罵倒された挙げ句フラれた俺は超人気バンドのボーカルになってざまぁします
気候カナタ
第1話 絶望からの希望
「す、好きですっ!付き合ってください!!」
俺、
相手は同じクラスの
南さんは俺がクラスの陰キャだと分かっているにも関わらずよく話してくれた。
他の人とは違ってバカにした目で見なかった。
それが俺にはすごく嬉しかった。
初めて他人にほんとの自分を見てもらえた気がしてうれしかった。
そんな彼女に俺は惹かれ、友達より一歩進んだ関係になりたいと思い、一世一代の覚悟をしたのだった。
でも、そんな俺の覚悟を無下にする言葉が低い声色で発せられた。
「は?何言ってんのあんた」
「え?」
いきなりで少し驚いた俺はふと南さんの顔を直視した。
そこにはまるで汚物を見るかのような視線で俺を見つめる南さんの顔があった。
「なに勘違いしてんの?なんで私がキモキモ陰キャなんかと付き合わないといけないわけ?」
「え、いやでも...」
「あー、あんた私がよく話しかけてたから勘違いしたんだ?そんなの笹波くんと少しでも接点を作ろうとしただけに決まってるじゃん」
「え....」
彼女がいう笹波とは俺の小さい頃からの親友、
確かに今までも悠真との仲を取り持って欲しいと何人もの女子に話しかけられたことがある。
今回も簡単に言えばそれと同じだったってことなのか?
「まじ、あんたみたいな陰キャとか生理的に無理だから。目が隠れるくらいの前髪ってなに?キモっ。まじないわ」
「・・・・・・」
余りの衝撃と底知れぬ虚無感で言葉が出てこなかった。
「じゃ、私今から用事あるから。あ、もう話しかけないでね。変な勘違いされても困るし」
そう言って歩き去っていく彼女。
そんな彼女を見ながら俺は何も出来なかった。
文句の1つも言えやしなかった。
そう思うと情けなさと悲しさで大量の涙が出てくる。
「う、うぅぅぅぅ・・・・」
彼女もまた俺の事を嫌な目で見た。
つくづく女子を見る目のない俺は情けなくて無様だった。
あの醜態から大体30分ほとが経っていた。
悲しみにくれるなか俺は駅前のカラオケの受付に並んでいた。
なぜ、カラオケなのか。
理由は簡単。
俺は歌うことがすきだからだ。
ちょっとした趣味である。
小さい頃、歌えば両親が喜んでくれた。
周りの人も褒めてくれた。
だからだろう。
俺の存在を認められたような気がして気づけば歌うことが好きになっていた。
それからというもの、嫌なことがあったりした時は決まってカラオケに行くと決めているのだ。
前には高校生のカップルがイチャイチャしながらコースを選んでいた。
なんとタイムリーな攻撃だろうか。
勝手に傷ついてしまった。
そうこうしていると俺の番になった。
「どのくらい歌われますか?」
「3時間コースでお願いします」
「ドリンクバーはお付けしますか?」
「はい。お願いします」
「お会計、1100円頂戴します」
俺は黒い財布から野口英世とワンコインを取り出し、トレーへと置く。
「400円のお釣りです。では、ごゆっくり」
お釣りを貰ってそのまま指定された個室へと向かう。
照明を付けていつもの様にマシンを採点モードにする。
まず最初に歌う曲はOVERworldというロックバンドの【Touch on】だ。
なんと言っても俺は大のバンド好きだ。
バンドが音楽好きの原点と言っても過言ではない。
このアーティストは俺が1番好きなバンドで、歌詞が良く、リズムも良く、そしてなによりかっこいいのだ。さらにはアニメのOPなども手がけている有名ロックバンドなのだ。
ちなみにイントロの流れるなかいつかこんなバンドのメンバーになってみたいものだなんて思ったりした。
それからは気持ちよく1曲目を終えた。
相変わらずサビがかっこいいのだ。
男ならだれでもハマると思う。
モニターを見ると99.201という数字が載せられている。
カラオケは1人でしか来たことがないから低いか高いか分からないのだが多分低いんだろう。
点数を確認してさて次の選曲へと進もうとしていると、いきなり部屋の扉が開いた。
びっくりして扉の方をむくと黒いスーツに身を包んだ黒髪ポニーテールの女性が立っていた。
彼女の顔も少し驚いている様子。
店員さんかな?とも思ったがそのままこっちへずんずんと足を進めてくる。
どんどん部屋の隅っこに追いやられる俺。
対して彼女はどんどん俺に近づいてくる。
そして最後には俺の目と鼻の先に彼女の顔があった。
長いまつ毛にクリっとした大きな瞳。
南さ...南なんて相手にならないくらいの美人だった。
「え、えーとなにか用でしょうか?」
質問した俺の顔を見る彼女の鼻からはブッフーンと言わんばかりの鼻息が出てきた。
「ねぇ、今の歌君が歌ったの!?」
「え。は、はい。そうですけど.....」
まさかの声がん漏れしてたの?
セキュリティしっかりしてよ!!!
恥ずか死しそうなんだけど!?
ちなみに後日、カラオケはよく声が漏れるということを初めて知った。
そして顔が引きつっている俺の目を真っ直ぐに見つめながら彼女は発したのだ。
「キミ、芸能界に興味はない!?」
「・・・・・は?」
散々罵倒された挙げ句フラれた俺は人生で初めて芸能界とやらに誘われたのであった。
⚠️⚠️⚠️
この作品は俺の勝手な妄想です。スカウトがこんな感じかも知らないし、事務所の手続きや芸能界のことなんて一切分からないので勝手な想像です。
また、作品に出てくるグループ名や曲名も厨二病全開な感じになると思います。
それでもいい!という方のみ読み進めて頂けたら幸いです。
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