第2話 失敗したかな?

「誰?」

「出てってよー。」

「ちょっと待って、この人がダンジョンマスターだよ。」


奇妙な服を着た男が一人、呆然と立っている。


「お、おい。君たちは誰なんだ。どうしてこんなところにいるんだ。」


「えー、この人が?」

「なんか弱そう。」

「失敗しちゃったかなー。」


困惑していた男だったが、ある程度冷静さを取り戻したようだ。

「あの、親御さんはどこにいるのかな?」


「ねぇ、理解してなくない?」

「もう一度儀式やろうよー。」


「君たち、迷子だったりする?」


「ねぇ、お兄さん。」


「なんだい?」


「ダンジョンマスターって知ってる?」


「はは。アニメか何かで見たのかな?」


「どうしよう、記憶の上書きができてないよ?」

「もしかして、ほんとにほんとに失敗したのかも。」

「多分大丈夫だと思うけどー。」


「お兄さん、お名前は?」


「僕かい?僕はね、佐藤・・・えっと、さとう、、」


「なんか中途半端に上書きされ多っぽいね。」

「うーん、何とかならないかも。」

「ダンジョンマスターの仕事、どんなことか知ってる?」

「わかんない。」


「俺の名前はさとう、さとう、なんだ?さとう、えっと・・・わかったぞ!」


「俺の名前は砂糖だ!」


「頭がバグってるかも。」

「とりあえず、少しぐらいなら記憶が残ってると思うから、聞いてみよー。」

「砂糖さん、ダンジョンマスターって聞いて何か思いつく?」


(ダンジョンマスター?ラノベとかで見かけたことはあるけど、それがどうしたんだ?いや、そんなことよりも。)

「アニメの話は後でしてあげるよ。それより、ここがどこだか知ってたりするかな?」


「なんか話通じてないねー。」

「やっぱり木の枝でたたいたのがよくなかったのかな?」

「もう一回たたけば治るかも。」


「どうしたんだい?もしかして、教えてくれるのかな?」


「えいっ!」


「ぐへぇ。」


突然男の頭上に木の枝が現れ、落下を始めた。衝突の衝撃によって、男の意識は失われた。


「気絶しちゃった。」

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