それは、また太陽が昇る限り
みーなつむたり
第1話 おはよう
夜が明けきらない朝に目を覚ますと、まずメガネを探す。
すると視界はクリアに。
悴む手に、はぁと暖かな息を吹きかける。
今日も「お母さん」になるために、勇んでキッチンの扉を開けた。
タイマーにかけていたご飯が炊けている。
白い湯気がキッチンを覆う。
おかげで少しばかり暖かくなってはいるけれど、凍えるほど寒い室内を温めるほどではない。
暖房器具もないここで、母は急いでコンロに火を付ける。そしてオレンジ色に揺らめく炎の上に、小さなフライパンを置いた。
オリーブオイルを少し垂らして、ソーセージをジュウジュウ焼く。
その間に、小さなボウルに卵を一つ、コツンと割った。ぷっくりした黄身を菜箸で勢いよく潰して一気に混ぜる。
溶き卵には少しの塩と少しのパセリ。
チーズを入れると美味しいと聞くけれど、そんなものは冷蔵庫には入っていない。
ソーセージがほんのり焦げて、慌てて小さなお皿にそれを移した。
同じフライパンの余分な油をキッチンペーパーで拭い取ると、オリーブオイルを入れ直して、溶き卵を少量注いだ。
フライパンを傾けながら薄焼き卵を作っていき、フライパンの奥から少しずつ巻いていく。
手前まで巻き終えると奥に戻して、残りの卵液をフライパンに敷き詰めた。
卵焼きとソーセージ。
ご飯はたまにはワカメご飯。
残りのおかずは冷凍食品。
これが、息子の毎日のお弁当。
大きい弁当箱の3分の2ほどにご飯を詰めて、気持ちほどのおかずを添えて、勢いよく蓋をした。
時計の針は午前5時30分を差す。
パタパタとスリッパを鳴らして息子の部屋のドアを、拳でドンドンドンドンと叩く。
「おはよう!朝よ!早く起きろ!!」
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