「じゃんけんで勝てたら付き合ってあげる」と幼馴染に言われたが今のところ100戦100敗
はぴちゃんず
1. じゃんけんに勝者と敗者は付き物である
「今日こそは俺が勝つ」
そう意気込むのは私の幼馴染、
私は「ナル」と呼んでいて、高校生で幼馴染の男女の中だと仲はいい方だと思う。
「勝てると思ってるなら、ナルはバカ」
そんなナルに、私は余裕の表情を持ってそう返す。
勝負の前のこんなやり取りは、もういつものこと。
大事なのは相手がどんな手で来るかだけど……もう、私は勝ちを確信している。
お互いを探り合うみたいな空気。
私とナルは出す手を決めて、お互いに無言でその手を前に突き出し──
「「じゃんけん──ポン!」」
記念すべき100戦目。
私とナルとのお付き合いをかけたその勝負は──
「だぁ〜っ!今日も負けかよ!」
私がチョキ、成羽がパー。
今日も私の勝ちで終わってしまった。
■
今日も一日平和な学校生活を終えた俺は、放課後に幼馴染の
「唯奈〜、どこ掃除すればいいんだ?
窓拭きか?それとも本棚の整理とかか?」
その目的は掃除のため。
唯奈に勝負で負けた俺は、唯奈の部屋を掃除するように命令されたわけである。
ただ……
「そんなの、全部に決まってる」
「で、ですよね〜……」
俺は部屋を1度見回し、ため息をつく。
「よくも1ヶ月でここまで汚くしてくれたな!」
「ちらかすの、得意」
ふんす、と何故か得意げな唯奈。
しかし部屋の状況はそんな可愛らしいものではなく、そろそろ踏み場も無くなりそうなくらいだ。
ちなみに1ヶ月前に掃除したのも俺で、同じような状況で同じように叫んでいたことは記憶に新しい。
「でも、私もやりすぎたから手伝う」
「それは助かる……」
前回も唯奈と一緒に片付けたが、それでも2時間くらいはかかったことを考えるとこれを1人でというのはさすがに心が折れる。
幸い、唯奈はちらかす手際だけじゃなく片付ける手際もなかなかいい。
今回は前回と比べれば少し少ないくらいだし、頑張れば1時間くらいで片付けられるかもしれない。
「それじゃあ、始めるか!」
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