「じゃんけんで勝てたら付き合ってあげる」と幼馴染に言われたが今のところ100戦100敗

はぴちゃんず

1. じゃんけんに勝者と敗者は付き物である

「今日こそは俺が勝つ」


そう意気込むのは私の幼馴染、樹崎きざき成羽なるは

私は「ナル」と呼んでいて、高校生で幼馴染の男女の中だと仲はいい方だと思う。


「勝てると思ってるなら、ナルはバカ」


そんなナルに、私は余裕の表情を持ってそう返す。


勝負の前のこんなやり取りは、もういつものこと。

大事なのは相手がどんな手で来るかだけど……もう、私は勝ちを確信している。


お互いを探り合うみたいな空気。

私とナルは出す手を決めて、お互いに無言でその手を前に突き出し──


「「じゃんけん──ポン!」」


記念すべき100戦目。

私とナルとのをかけたその勝負は──



「だぁ〜っ!今日も負けかよ!」


私がチョキ、成羽がパー。

今日も私の勝ちで終わってしまった。









今日も一日平和な学校生活を終えた俺は、放課後に幼馴染の唯奈ゆいなの部屋を訪れていた。


「唯奈〜、どこ掃除すればいいんだ?

窓拭きか?それとも本棚の整理とかか?」


その目的は掃除のため。

唯奈に勝負で負けた俺は、唯奈の部屋を掃除するように命令されたわけである。


ただ……


「そんなの、全部に決まってる」


「で、ですよね〜……」


俺は部屋を1度見回し、ため息をつく。


「よくも1ヶ月でここまで汚くしてくれたな!」


「ちらかすの、得意」


ふんす、と何故か得意げな唯奈。

しかし部屋の状況はそんな可愛らしいものではなく、そろそろ踏み場も無くなりそうなくらいだ。


ちなみに1ヶ月前に掃除したのも俺で、同じような状況で同じように叫んでいたことは記憶に新しい。


「でも、私もやりすぎたから手伝う」


「それは助かる……」


前回も唯奈と一緒に片付けたが、それでも2時間くらいはかかったことを考えるとこれを1人でというのはさすがに心が折れる。


幸い、唯奈はちらかす手際だけじゃなく片付ける手際もなかなかいい。

今回は前回と比べれば少し少ないくらいだし、頑張れば1時間くらいで片付けられるかもしれない。


「それじゃあ、始めるか!」

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