散歩
新緑の季節、よく母と散歩をしていた
うちの近くには神社があって
公園も神社の近くにあった
公園の遊具は
趣向の違う個性派ブランドで揃えたファッションみたいに凸凹で
お母さんとお父さんみたいだねと母は言った
神社は名前も知らない数種類の緑に覆われていて
しばらくの範囲に緑が浸透していた
神社の側の
小糠雨に濡れた遊歩道を一緒に歩いた
母は植物の名前をよく知っていた
母は僕がよく分からなそうにすると
母は僕と目線を同じくして教えてくれた
肩に触れる手がふわふわと柔らかった
そろそろ帰るかと母が立ち上がると
天つ日が白く木々の影を縫った
5月の涼しい風が肌を撫でた
ちょっと寒いねなんて言いながら上着を羽織らせてくれた
今年の新緑の季節も散歩に行く
大丈夫だ、まだ肩に名残があった
天つ日は母の影もその場所に縫いつけた
5月の涼しい風が肌を撫でた
羽織る上着が無いことに気づいた
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