住む世界とゲームの中がごっちゃごちゃに!?
水見ミク
第1話 世界が変わった?!
今日は、隣の家に住む幼馴染のさやの家に泊まっている。
「やりぃ!また勝った!」
「私たち強いね!だいぶ修平のおかげかもだけど」
「これでどんどん討伐してくぞ!」
俺たちは今「MONSTER CUT(モンスターカット)」と言うゲームにハマっている。
プレイ人数は全世界で1億人以上いると言われている。
このゲームにはプレイヤー一人一人に「SS・S・A・B・C・D・E・F」というランクが付けられていてモンスターを倒せば倒すほど経験値が貰え、ランクが上がっていくというどのゲームにでもあるようなシステムになっている。
「お前今ランクなんぼだっけ?」
「Bだよ。そっちは?」
「えっと、俺は···もBだ」
元々始めたのは俺が先でさやが暇だから何かいいものはないかと聞いてきてこれを勧めたのが2人でゲームをするようになった発端だ。
しかし今ではさやも上達してきて俺を越してしまわないか心配だ。
後から始めたやつに越されるのはとても悔しい。
そうならないようにと俺は隠れてコソコソと経験値を貯めている。
そうこうしているうちにいつの間にか夜の十一時になっていた。
いつもなら布団に入っている時間だ。
「もうそろそろ寝ようぜ。俺もう眠たい」
「そうだね。私も眠くなってきちゃった。また明日続きしよう!」
「おう。そうしよう」
2人はおやすみと言い、それぞれの布団へと入った。
最初はお互い寝れないなと思いつつも寝落ちしていたようであっという間に朝になった。
チュンチュンチュン♪
鳥の鳴き声が聞こえる。
ピピピピピッ♪
修平のスマホのアラームが鳴る。
「おはよぉー」
「おはよう」
「朝から元気だね」
「俺は朝に強いからな。平日はサッカー部の朝練あるから朝早いし」
「そういえばそっか。いつも頑張ってるもんね」
修平はさやに褒められ少し照れている。
「修平顔赤くない?あ、もしかして照れてるんだ!」
「ち、ちげぇよ!」
「あ!」「何だよ」
「近くのコンビニ行こう」
「唐突だな。なんかアイス買おうぜ!」
「もう。修平ったら。アイスばっかり」
「別にいいだろ。てかそういえばおばさんって仕事だっけ?」
「そのはずよ」
そんな会話をしながら2人は出かける支度をする。
「よし準備できたか?」
「うん。行こっか」
2人が玄関の扉を開けた時···見たこともないような景色が広がっていた。「いつもの景色じゃない!」
「ホントだ!」
すると修平が何かを思い出したかのような口調で言った。
「ん?ここってあのモンカトの中の「ナルガ村」じゃね?あそこに見慣れた初期装備着た人いるし」
「ホントだ。じゃああの人はFランクかな」
「まぁそうだろうけど、ひとまずそれは置いといてこの状況をどうにかしないと」
「もしかして私たちはモンカトの世界に入り込んじゃったのかな」
「それ以外ありえねぇだろ。ちょっと待ってろ」
修平は慌ててさやの部屋へ駆け込んだ。
「確かここに···あった!昨日使ってここに置きっぱなしにしてたんだった」
急いで玄関へ戻る。
「お待たせ!」
「何しに戻ったの?」
「これだよこれ、モンカトの攻略本。少しは役に立つかなって。ひとまず出よう」
ピロン♪
「ん?なんだ?」
家を出た途端スマホが鳴った。
「何か通知来てる」
『モンカトプレイヤーの皆様へ
現世界はモンカト仕様となっております。
元の世界へは今の所戻れない状態です。ご了承ください。
皆様のお財布等のお金は全てモンカト通貨のベルへと両替させて頂きました。モンカト世界では満15歳以上35歳以下の方はハンターとして過ごしていただく義務がありますので宜しく御願い致します。
モンカトを存分にお楽しみ下さいませ。 モンカト開発部』
「なんだよこれ。俺たちがいた世界がモンカトの世界に変わっちまったみてえじゃねえか」
「そうみたいだよ。おーい大我ぁ!海ぃ!」
「あ、あいつら!」
急いで駆け寄る。
「何してんの?2人で」
「朝起きたらこの有様で、外出てみたらこいつがいたから一緒に行動してるって訳」
「そしてね。これから2人で討伐行こうと思ってるの」
「お前たちモンカトしたことあんま無いだろ」
「1年だけな!挫折しちまったけど。でもギルドってとこで色々教えて貰えたし」
1年だけか···と少し心の中で笑ってしまったが、そんなことはどうでもいい。
「なぁ、お前たち。ギルド行った方がいいぜ。服とかそのまんまだし」
「そうだな。確かギルドは・・・」
攻略本に載っているマップを確認する。
「さや、行こう。服とか買わねぇと」
2人はギルドへ向かう。
「すいません。ここってギルドですよね?」
「そうよ。ここに来るの初めてみたいね。」
「そうです」
「一応聞くけどあなた達現世でモンカト経験者じゃない?」
「え、そうですけど・・・」
2人はスマホゲーム版のモンカトをプレイしていた。
「じゃぁ、そこのパソコンで今までのアカウントでログインしてもらえる?」
ゲーム同様アカウントが必要のようだ。
経験者は今までと同じアカウントでログインし、未経験者は新しくアカウントを作らないといけないようだ。
「分かりました」
2人はパソコンを起動させる。
「ログイン出来た!そっちは?」
「入れたよ!」
「パソコンの画面に番号とパスワード表示されてるでしょ。向こうにロッカーがあるからそこの指定された番号とパスワード打ち込むと扉が開いてあなた達の今までの服とか武器とか入ってるはずよ」
「ありがとうございます」
2人はロッカーへ行き服を着替えたり武器を装備した。
「見て!昨日着てた服!そのまんまだよ!」
「俺も!やっぱかっけぇよな!」
するとさっきのギルドのお姉さんが駆け寄ってきた。
「2人とも!さっき言い忘れてたんだけどスマホでこれ読み取ってみて」
「QRコード?」
2人はそのQRコードを読み取る
すると「モンカト」と書かれたアプリがダウンロードされた。
「なんすかこれ?」
「これはね。あなた達のハンター証などが記録されるアプリなの。とっても重要だからちゃんと管理するようにね」
「分かりました」
開いてみると最初にログインを要求された。
ログインしてみるとハンター証が表示された。
「これ今までのデータが引き継がれてる」
「ホントだ。ランクもBになってる」
「モンスターの討伐記録まである。凄いな」
「俺たちが今までのように動けるのか心配だけど」
「それは大丈夫なんじゃない?」
さやがとある画面を見せてきた。
「『あなた達は今までのゲーム通り動くことができます。基本的に今まで通りのゲームと何ら変わりありません』って書いてあるよ」
「じゃぁ大丈夫かな。」
「じゃあ早速、クエスト受けに行こうよ!」
「いいよ。何行く?」
「そうだねぇ。ゲーム同様ランクBとはいえ初心者のようなもんだし・・・」「最初は簡単なので良いだろ。力試しに」
「そうだね。ゴルグ辺り行く?」
「そうだな。そういえば久しぶりに行くよな」
「ゲームだったらね。この世界になってからは初だから実質初ってことになるかな」
「だな。クエスト受付所ってどこだっけ?」
「あそこじゃない?ハンターらしき人沢山いるよ」
「そうみたいだな。行ってみよう」
2人はそこへ向かった。
「すいません。ゴルグ討伐行きたいんすけど依頼来てますか?」
ゴルグとは中型モンスターで最弱と言われており、初心者でも楽に倒せる。中でもゴルグの腸は薬に使われるため腸の採取のために依頼が来ることが多い。
「少々お待ちください···ありました。でも『3人のパーティーで』となってます。あなた達は2人だけですよね?どうされます?」
「どうする?受けるの辞めとく?」
2人で話していると背の高い男性がやってきた。
「ゴルグ受けたいんだよね?良かったら俺も行くよ」
「え、ありがとうございます。って、あなたは!」
顔を上げてその人の顔を見ると見覚えがあった。
見覚えがあったというよりハッキリと覚えている。
「俺の事知ってるの?」
「知ってるも何も。ね、修平!」
「うん。菊池隼人さんですよね?」
「そうだよ。俺って結構な人に知られてるな笑」
「そりゃそうですよ笑。最強プレイヤーなんですから」
菊池隼人(きくちはやと)とはモンカトプレイヤーの中でも最強と言われており、プレイヤーの中でも唯一SSランク認定者なのだ。
しかも1人用クエスト最強モンスター「アキレウス」を倒したという伝説まである。上級者でもなかなか倒せないモンスターなのに。
ヨウチューブという動画投稿サイトにてゲーム実況配信も行っており、ファンはとてつもなく多い。
「じゃぁこの3人でお願いします!」
カタカタカタ。クエスト受付嬢がパソコンを打つ。
「···受け付けました。気をつけて行ってきてくださいね」
「はい!(3人)」
2人はクエスト門へと歩く。
クエスト門とはハンター証を見せると門が開き、そのクエスト場所まで連れて行ってくれる所だ。
「ついにここ通れるんだ!夢でも見てるような感じだぜ」
「そうだね。なんかワクワクしてきた」
ピピッ。ハンター証が読み込まれた。パーティーリーダーは隼人のようだ。
「隼人さん。宜しく御願いしますね」
「こちらこそよろしくね」
門をくぐると、ピロン♪と隼人のスマホが鳴った。
「追加依頼だって。ゴルグの腸を採取してこいだって。俺あんまり腸とか好きじゃないんだけどな」
「腸、ですか。確か薬に使われるんですよね。私たち採取は初めてなんです」「そうなんだね。俺が手取り足取り教えてあげるよ」
「ありがとうございます!」
「ゴルグは5の場所にいるみたい。急ごう!」
クエスト場は1〜5のステージに区切られており、スマホの画面上に地図が表示され、モンスターの居場所がわかるようになっている。
「俺が先回りするから2人は背後を狙って!」
「分かりました!」
隼人が先回りし、囮になっているうちに2人が背後を狙う。
「おりゃぁー!」
「いっけぇー!」
グサッ。ゴルグの腹に修平の大剣が刺さる。そしてゴルグは倒れた。
「よっしゃぁ!倒せたぞ!」
「やったぁ!」
「俺たち意外と動けんじゃん♪」
「2人とも!こっち来て。腸を採取しなきゃ」
「そうでしたね。倒せたことにテンション上がっちゃってました笑」
「みんな最初はそうなんだよねぇ。俺もそうだったから」
「隼人さんもそうだったんですね。意外です」
「ほら2人とも見て。腸」
「うわぁ。こんな大きいんだ。人間のなんて比べ物にならないよ」
「ホントだ。俺の腸の何倍だろ」
「さ、これ持って、帰ろう」
「腸ってどこに持ってくんですか?」
「薬草とかは薬師だけどこれはそのまま使えないから一旦調理師に持っていくんだ。一部料理に使われる事もあるからね」
「そうだったんですね。勉強になります」
「まぁ俺が処理してもいいんだけどね」
「え、大丈夫なんですか?」
「うん。一応この世界でも現実でも調理師免許持ってるしね。俺料理とか大好きなんだ」
「え、そうだったんですか?意外です!」
この世界ではAランクに到達すれば自分で好きな免許が取得できる。主に、調理師や漁師、看護師、鍛冶師等がある。試験を受けなければ取得することは出来ない。これらの資格を持つものはハンターとしての仕事と両立しながら働いている。
「俺も調理師にしようかなぁ」
「あんた料理出来ないでしょうが!」
「これから練習して上達すんだよ」
「どうだか···」
修平は料理ができない。
以前玉子焼きにチャレンジした時、黒焦げになり、ボロボロに崩れてしまったのだ。
料理音痴にも程があるだろ。
そんな話をしていると3人は調理場へ着いた。
「すいませーん!ゴルグの腸採取してきたんで加工お願いします」
「すまんね。今皆忙しくてな。誰も手が空いてないんだよ。君、調理師の資格あるだろ。そこ貸すから自分でやっちゃってくれ!」
「僕がですか。まぁいいですけど」
隼人は渋々作業を始めた。
「2人も外から見てて。中は調理師資格のある人しか入れないから」
「分かりました!この目にしっかりと焼き付けときます!」
2人は目を光らせながら隼人の作業を見ていた。
10分後やっと処理が終わった。
「ちょっと時間掛かっちゃったな。急いで薬師の所へ持っていこう···と言いたいところなんだけど、俺用事思い出したから2人で届けてくれるかな?」
「分かりました。しっかりと届けてきます!」
「お願いするよ。じゃあ俺はここで」
2人は薬師の所へ向かう。
薬師に会うのは久しぶりだ。
「元気にしてたかな」
「どうだろうね。いつも贔屓にしてくれていたし」
「そうそう。たまにいい薬草をタダで分けてくれたりしてたし。今日も分けてくれたらいいけど」
「着いたよ」
「なんかいつもより綺麗になった?」
「掃除でもしたんじゃないの?結構汚かったし」
「薬のおっちゃん!来てやったぜ!」
「おぉ!2人ともよく来たな。久しぶり!ところで何の用だ?」
「あ、そうでした。これ持ってきました」
「ゴルグの腸か。2人でゴルグ行ったのか?」
「いえ。隼人さんと言う方と···」
「おぉ。アイツとか。元気にしててたか?あいつも最近顔出してくれなくてな」
「隼人さんもここの常連だったんですね」
「そうだぜ。あいつがまだ弱っちいとこから仲良くしてたからな。お、噂してたら来たみたいだぞ」
「え、隼人さん!?用事があるって···」
「あぁ用事なら早く済んだよ。だからこっちに顔出してみようと思って」
「お前がこいつらと仲いいとはな」
「今日初めて会ったんだけどね。2人がゴルグ討伐に行くって言うからついて行ってあげてね」
「そうだったのか。なら3人でパーティー組めばいいじゃねえか。3人以上限定のクエストも増えてくし」
「そうだね。僕は全然いいんだけど、2人がいいなら···」
「え、良いんですか!?是非!」
これで俺たち3人ははパーティーを組むこととなった。
それから俺たちは隼人さんと共にたくさんのクエストをクリアしていきAランクへと上り詰めた。
次はどこへ行こうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます