境界の召喚士〜目覚めたら従者にされていた〜
ぽかんこ
プロローグ
暗い暗い闇の中、まともに意識が働かない。
自分がどうしてここにいるのか分からない。ここがどこだか見当もつかない。
轟々と何がうねる音がする。その音は発信源と耳の間に何かが憚って、淀み篭っている。ギギギギギと重厚な軋轢が霞んだように伝わって、意識が徐々に擦れていく。
凍えるような寒気を感じる。
からだ全体を押さえ込むように凍えていくものが、ジリジリとうごめきながら笑っているように思えた。それは俺の頭にも覆い被さっている。まぶたを開けようにも流動する何かが邪魔をして、痛みと圧力で開くことができない。
呼吸ができない。
口を開いたら、その瞬間に体内に入り込まれてしまいそうな圧力がある。酸素のない苦しみに、限界を感じてついに開くも、空気の交換が行えない。そしてそのまま何かが肺に侵入してくる。
胸に激痛が走り、俺はおもわず叫び声を上げようとしたが、しかしその音は響かない。
燃えるように身体が痛む。凍えるように身体が強張る。眠るように意識が遠のく。
肺に酸素を取り入れようと必死になって、全身が震えてのたうちまわるが、どこにも空気はありもしない。
苦しい、苦しい、苦しい。
痛い、痛い、痛い。
怖い、怖い、怖い。
苦しみにもがき暴れていた身体も、とうとう動きが弱まってきた。
もう何も考えが巡らない。ついに俺は意識を失った。
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