第45話 新たな決意Ⅰ

「本当は、自力でなんとかしたかったんだがな……こんな体じゃもう、護り切れねェ……」

 フッと、キザな笑みを浮かべた細谷は観念したように返事をするとすぐ

「おまえなら、きっと護ってくれる。赤園を……頼んだぞ」

 しっかりとした口調で言葉を付け加え、シロヤマにまりんを託した。

「後は俺に、任せとけ」

 細谷からまりんを託されたシロヤマはそう、凛々りりしい笑みを浮かべて力強く応えた。


 低い体勢になり、そっと細谷を寝かせたシロヤマはゆっくりと立ち上がる。

「まりんちゃん……今の話、聞いてたよね」

「うん」

 徐に振り向き、真顔で向き合ったシロヤマに、真剣な面持ちで佇むまりんは返事をした。

「一刻も早く解毒剤を手に入れ、細谷くんに飲ませること。これが最も重大で、最優先すべきことだ。

 が、この重大ミッションをクリアするには、妨害となる者をどうにかしなきゃならない。きみなら、この意味が分かるよね」

 まりんは大きく頷いた。

 重大ミッションをクリアするためには、その妨げとなる死神と戦わなければならない。

 妨げその一となる、死神総裁カシンはもっか、強靭な老剣士と空中戦バトルの真っ最中。

 携えた武器を手に、互いの力がぶつかり合う、白熱とした空中戦バトルが続いている。

 これではとても、まりんとシロヤマが目論むミッションを妨害するほどの、余裕はない筈だ。

 残るは、妨げその二となる者……セバスチャンだ。

 対戦相手だった細谷は今や、彼が放った不意打ちに倒れ、戦闘不能に陥っている。

 対戦相手がおらず、フリーのセバスチャンをどうにかしないことには、ミッションクリアとならない。

「セバスチャンの相手は、俺が引き受ける。きみはここで、戦いの成り行きを見守っていてほしい」

「ごめん。それは、無理」

 いたって真剣なシロヤマの言付けを、まりんは真顔で拒否した。

「私が、セバスチャンの相手になる」

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