第7話:恵比寿台
●Cコーポレーション本社ビル前●
「ここがCコーポレーションの本社ビル…ですか。」
「……行くか。」
「あ、ちょっと待ってください竹本さん?」
「あ?どうした」
「僕らアポ取りました?」
「あ。」
2人で立ち尽くしていると、ビルの中から身なりの良さそうな女性が出てきた。
「竹本様と、鴨田様ですね。中へどうぞ。」
女性は2人を中へ案内した。
「どうして僕らが来ると?」
鴨田は質問をしたが、女性は中に手を示すだけで何も答えない。
「これはおそらく、Cコーポレーション製のアンドロイドだ。」
「アンドロイド⁉︎え、この女性がですか⁉︎」
「Cコーポレーションは、今世界の広い目で見ても一番発展している会社だ。独自の門外不出の技術の数々は、各国が喉から手が出るほど欲しがってやがる。そんな会社だと心に留めとけ。」
「は…はぁ。」
2人は連れられるままエレベータに乗せられた。乗ってから1分ほど経ってついた場所は、エレベータの乗降口から真っ直ぐに廊下が伸び、右や左に何やら難しそうな部署の一番偉そうな人がいそうな部屋が立ち並んでいた。
「何か厳かな雰囲気ですね。」
「どこに連れて行かれるんだ…?」
廊下をまっすぐ進んでいくと、突き当たりまで歩かされた。
「こちらです。」
「こちらって言ったって……。」
「『社長室』って書いてないですか…?」
「中にお入りください。」
両開きの木の大きな扉を開くと、奥にはオールバックの眼鏡をかけた男が窓から上下田を見下ろしながら立っていた。
「こんにちは。」
「……あななたたちが、市民から依頼を受け、調査をしに来た探偵さんですか。どうもこんにちは。Cコーポレーション社長の、
「こんにちは、竹本探偵事務所所長、
「同じく竹本探偵事務所所員、鴨田勝です。」
「では早速ですが…」
周が指をパチンと鳴らすと、黒服の男(かどうかはわからない)が、アタッシュケースを持ってきて、2人の前に置いた。
「これは…なんですか?」
鴨田は恐る恐る聞く。
「この中には現金が入っています。少し少ないですが…これで今回のこと忘れてもらえますか…?」
「ウガァァァァァ!」
男は完全に自我を失い、暴走が始まっている。
「どうする安土!」
「くそ…どうなってるんだ⁉︎とりあえず、何をしでかすかわからないので、取り押さえましょう!頼みました吉田さん!」
「わかった!死なねぇ程度に加減しねぇぞ!…
吉田の攻撃で一撃。男は声を上げながら倒れた。
「しかし…一体全体どういうことだ?」
玉城と安土は倒れている男に駆け寄る。
「グアッ!グ…ウ、ウアァグガッ!」
男は傷を押さえながら悶えている。
「こいつ…なんなのか知らねぇが、目がおかしくなってやがる。」
「これは…マンダラ?」
男の目にはしっかりと、円の弧で描かれた「マンダラ」が描かれていた。
「目にマンダラぁ?さっきまでそんなのなかったよな?」
三人が頭を悩ませていると、上空から一本の槍が落ちてきた。
ジャキン!
「刺さった…。」
槍は地面に深く刺さった。すると、上空から一人の男が落ちてきた。いや、降りてきたと言った方が正しいかもしれない。
ズドン!
「誰だ!?これ!」
「人の管区で…。」
落ちてきた男はぼさぼさの髪をしているが、がっしりとした体格を持っている。
「この人…どこかで……。」
「安土…?」
「人の管区で…何してやがんだぁ!?」
男は叫んだ。そして、ずかずかと歩いてきて、暴れている男のもとでしゃがみ込んだ。
「まぁたこれか。」
「おいあんた、これに何か見分があるのか!?」
「これは、ここ最近
「『ゴッドアイズ』…。」
「あ、思い出した!あいつ!」
「どうした吉田!」
「
「えぇぇぇ!」
「ほう、よくわかったな。上下田の隊長なんざ覚えてるとぁ…てめぇ
「……
「…あぁ…お前らか。あの、無法者どもの集まりの。」
「無法者…?」
安土は少しにらみを利かせる。
「おい、おちつけ安土。ともかくこいつ隊長なんだろ?今のお前じゃ、手も足も出ねぇよ。」
「……それもそうですね。玉城さんありがとうございます。」
「いいってことよ。」
「無法者の集まりとぁ、どういう了見だ?」
「例を挙げて説明してやるよ。昔ながらのよしみで副長に選ばれたにも関わらず、自らの復讐のために動く男、高橋景臨。警察官になろうと警察学校に入学したにもかかわらず、退学を食らった警察堕ち、
「お前…。」
吉田は歯を食いしばっている。
「まだいるぜ?豪遊の限りを尽くしたにもかかわらず、内部告発により崩壊したヤクザグループの会長の一人娘、
サッと安土が動いて、後上に斬りかかる。
「バカっ!安土!」
刃が当たる直前に、安土は見てしまった。後上の笑う顔を。
「ガァキんチょ¿」
ブワッ!
「安土!…クッソ元々負傷してるってのに…!」
「それだけあいつが強ぇってことだろ?なぁ後上さんよぉ?」
後上はニヤリと笑っている。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます