第4話:石橋台

「捜査一課…!?」

「貴様等はCHASERチェイサーか。噂には聞いている。上下田で警察ごっこをやってる連中…たしか、リーダーは石橋シャッキョウのところの副長だったか?」

竹ノ内タケノウチ高橋タカハシに詰め寄る。

「なんか文句あるか?」

高橋は挑発するような口調だ。

「今回こそ死人を出さなかったが、貴様等が死人を出せば、その時は容赦せんぞ。」

「いつから手前テメぇそんなに偉くなったんだ。神奈川県警ごときが、警視庁語りやがって。」

竹ノ内は高橋の言葉に眉間にしわを寄せる。

「貴様、知らんわけでは無いだろう?警視庁は上下田カミシモダでの数々の失態を受け、東京から神奈川に移行される。警視庁は東京県警トウキョウケンケイとして職務を全うする。忘れたわけがあるまい?」

「……。」

高橋は黙り被る。

「さてと、本題に入ろう。大台ケ原オオダイガハラ、貴様を連行する。“出てこい”。」

竹ノ内の影から一枚の仮面が現れた。

「⁉︎何をする気だ!」

安土アヅチは叫んだ。が、竹ノ内は何も返さない。

仮面は影から手と足を抜き、「ケタケタ」と笑った。

「やつを“入れろ”。」

仮面は影を伸ばし、大台ケ原を包み込んだ。大台ケ原はゆっくりと影に沈み始めた。

「お前!」

高橋は再度ブレウに手を伸ばそうとしたが、影は何も受け付けなかった。

「くそっ!なんでなんだよ!」

大台ケ原の声が徐々に小さくなっていきながら、大台ケ原の存在は消えた。

「お前ぇ‼︎‼︎」

安土は懐に飛び込んだ。

「ここで争う気か?いいだろう、公務執行妨害として扱えば、合法だ‼︎‼︎“やれ!”。」

仮面は安土の元へ目を向けヌルりと手を伸ばす!

「あんたを絶対ぶっ飛ばす!」

引けを取らず、安土の短刀も尋常で無い速度で走る!

「待て!安土!」

高橋の声に一瞬の戸惑いを見せ、安土の刃は速度を遅める。が、仮面の手は止まらない!

「クソッ!」





「ハイ。そこまで。」

突然謎の男が現れ、仮面の手を止めた。

「うちの若いのが先に手を出したのかもしれないけど、本当に殺す気で食ってかかるなんて。ちょっとやりすぎなんじゃない?竹ノ内君♪」

何故なにゆえ邪魔をしに来た。石橋台長しゃっきょうたいちょう。」

「君を止めに来るのも含めて、お迎え。」

「隊長!」

「ったく、高橋、お前…何してんだか。JUGGERジャガーを止めたまでは良いものの、捜査一課にまで喧嘩売りやがって…。安土、お前もその手に持ってるもん、離せ。」

「……は、ハイ…。」

安土は持っていた短刀を地面に落とした。

「貴様が来ただけで、こいつら二人は安心してやがる。……やはりこいつらの親玉は貴様か。」

「貴様貴様ってうるさいナァ。そうです~。僕がこのCHASERの親玉、ってか…会長?まぁいいや、石橋台長で~す。」

「……ひとまず本日は帰るとしよう。」

「随分といさぎがいいね。どうしたの?」

「そもそもとして、私がここに来た目的は達成された。これ以上ここに長居するつもりは、犯行してくるやつがいなければ…ない。」

竹ノ内はちらりと安土の方を見た。

「す………すいません……でし…た。」

竹ノ内は少し表情を緩めると、来た時と同じように、窓から外へ出た。

「帰りのあいさつもなしかよ。」

高橋はぼやいている。


「虫は去ったみたいですよ?フールさん。」

「そうみたいだね、エンペラー。僕らがここにいる意味は、もう無いみたいだ。」

「なんの話してんだ。おぇら。」

鴨田カモタはフールとエンペラーに質問を投げる。

「鴨田君…だったっけ?君の友達はいい人だったがその友達の君はどうなんだろうね…いずれにせよ、君は知らなくていいことだ。」

フールは鴨田を見つめながら言った。

「オレの友達が良い人…。」

「さて、帰るとしようか。帰るぞ、ストレングス!」

フールは遠くまで聞こえるように叫んだ。

手前てめぇ、もう帰っちまうのか?」

武田ムタはストレングスに聞いた。

「あぁ…帰らなきゃいけねぇみたいだな。クソッ。もっとあんたと拳で語り合いたかったぜ…。」

ストレングスは詰まらなさそうに言った。

武田は少し考えるようなそぶりをした後、口を開いた。

「オレはいつでも待ってるぜ。」

その言葉にストレングスはニィッと笑い、武田のもとを去り、フールのもとへと向かった。

「行ったみたいね。」

「おう山中、そっちもどっか行っちまったのか?」

「私がおなかに少し拳を入れたら、帰って行っちゃったわ。」

「お、おぉ。そうか。」

武田はこの人には逆らわないようにしようと思った。

「全く君たち何やってんだか。全員逃げちゃったじゃない。」

竹本タケモトはやれやれと言う顔つきで二人のもとに現れた。

「すんません、竹本さん。ですが今回、一つ疑問が残りました。」

「疑問?」

竹本は武田の言葉に首をかしげた。

「彼らはなぜこんなところに来ていたんだろうか、と言うことです。こんな肥溜めみたいな誰もいないような場所に、それも三人もです。」

「それは…。」

竹本は一瞬口を開いたが、また閉じて「いくぞ」と言う風に手を動かして、坂道を下って行った。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「うるせぇバカッ!」

安土はイズミに叫んだ。

「JUGGER」によるビルの事件が終わり、所轄の刑事がボチボチと集まってきたところに、泉と安土がいる。

「なんでもう終わっちゃってるんですか~~!」

「お前が来るの遅いからだろ。」

鴨田は来ていた上着を肩からぶら下げながら現れた。

「あっ鴨田。」

「鴨だ。」

「おい泉『鴨』は無ぇだろ、『鴨』は。」

三人は仲良く話している。そんなところに一人の男があらわれた。

「ま、泉。運転してたのはお前なんだから、遅くなっちまったのもお前のせいだよな?」

「ちょっとクソ上司は黙っててください。」

「あんた誰。」

鴨田は眉間にしわを寄せながら、急に現れた深津フカヅに質問をした。

「いいとこ気づくね、イケメン君。上着着なよ。ご紹介に預かりました、泉のクソ上司でーす。こんちはー。」

「いや、名前を教えろよ。名前を。」

そんなこんなで話していると、高橋があらわれた。

「深津、久しぶりだな。」

「おっ!へ?あ、オ、オウタカハシジャーン、ヒサシブリーゲンキシテター。」

「棒読みと最初の反応でオレに会いたくないオーラをむんむん出すな、この野郎。」

「お二人の関係はどういったご関係で?」

泉は先ほどまでとは一転して、少しまじめな表情で聞いた。

「別に…大した仲じゃねぇよな?深津。」

「ホントのホントの腐れ縁ってやつだ。まぁまた機会があったら話そうか。高橋の若いころの話。」

「うわ、聞きてぇ~。」

「聞いても得ないぞ安土。」

高橋は少しニヤけながら言う

「ま、オレのハナシも一緒にしよか?」

「クソ上司の若いころの話なんてマジで興味ないです。帰ってください。」

「うわ冷たっ!泉冷たっ!鳥肌立つわ!」

「…ったく、ワーワーうるさい人ですねクソ上司は。」

「そうだよな、そう思うよな、こいつは昔っからこうなんだ。今日はお詫びに奢ってもらうか。飲みたい気分だし。」

「えっ!?ひどくない?高橋!オイッ!」

高橋さんは無視してどこかへと去って行った。


その後、安土 鴨田 泉 長宮 山本 高橋 深津のメンバーで、居酒屋に行き、七人でどんちゃん騒ぎをした。

これでいいのか?

まぁこれでいいか。


つづく

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