お題:指先

 格ゲー。それは指先だけで雌雄を決する超高速の勝負。反射とも言えるレベルにまでコンボや対策を体に叩き込む練習量こそが勝負の決め手となる。のだが。

「前格ダッシュ覚醒パァァァンチ!!」

「づぁぁぁあクソ機体に負けたァァァァァ!!!」

「あれれー? 環境トップどうこう言ってたのってどなたでしたっけぇ? 男のわからせって需要ないんですけどー??」

「うるせぇクソ機体女! ブチのめしてやる!!」

「やってみなさいな環境キッズが!」

 実力が拮抗した身内で戦うと見るに耐えない低脳暴言煽り合戦になる可能性を秘めているのである。

「また喧嘩してんのかお前ら」

「「だってコイツが!!」」

「はいはい仲良しこよしだな。つーかお前らランクマやるって言ってなかったか?」

「「だってコイツが!!!!」」

「あー大体わかったよ」

 嘆息しながら少年が確認するように話す。

「要するにお前はいつもの機体で戦いたいと」

「覚醒ブッパで脳汁出したい」

「んでお前はランクマぐらい環境機体で真面目にやりたいと」

「シーズン称号欲しい」

「欲望の塊かおのれら。……だったら交互に要望通せよ。勝率比べれば喧嘩も解決だ」

「たしかに。よしあたしに合わせてお前もいつものクソ機体使え!」

「じゃあ俺の時はマトモなの使えよ!?」

「あたしの普段がマトモじゃないってか!?」

「覚醒ブッパしか目立つ打点ねぇような機体がマトモなわけねぇだろ!!」

 ぎゃーぎゃーと喧嘩を再開する両名だが、二人を眺める少年は知っている。

「どーせ戦い出したら連戦連勝のクセによ。以心伝心コンビ」

 その呟き通り、二人は20連勝。お互いの要望に甲乙がつかないという理由でまたもや1on1で戦い始めることになるのであった。

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