[No.23] 夫の執念実り 石化妻、蘇る
テーゲ
――あれは、わしの
深いシワの
裸婦石像そのものが自分の妻だ、といっているのだ。
お歳もお歳である。ボケてしまっていると誰もが思うだろう。
実際、大広場にいた人々は
「やはり間違いない。わしの妻じゃ! 顔は忘れてしまっても、この
裸婦石像の
おおいに
「
「持っちゃいるが、そんなもんどうするってんだ。よぼよぼの体で
「ええい、
「おい、クソジジイ!」
テーゲ老氏は、ターバン頭の行商人が見せびらかした
「コンチクショウ、大事な商品を!
「ま、まて、あれを……あれを見るんじゃ!」
〝バジリスクの涙〟が
「おお! わしの妻よ!」
テーゲ老氏は、石化状態から復活した妻の胸へ飛び込んだ。
この時、ふたりは実に半世紀ぶりの再開だった。
テーゲ老氏が妻と生き別れになったのは、二十四歳のときなのだ。
ある日、十九歳の妻が「泉で水浴びをしてくる」と出ていったきり、
だがもう一度いう、この時、ふたりは半世紀ぶりの再開なのである。
そして、妻は十九歳のままで、老氏は七十四歳だ。
ふところへ飛び込んだ老氏がどうなるかは火を見るよりも明らかだった。
「何してくれてんの!? このクソジジイ!」
蘇った妻は、胸に
その後、テーゲ老氏は、妻にあっさりと捨てられた。
「事情は聞いたけどさ、いくら
テーゲ老氏の〝
ちなみに、石化前のマリーさんの記憶は、半世紀前に泉で水浴びをしていたところで
テーゲ老氏は現在、
「〝バジリスクの涙〟は
なお、老氏は釈放後すぐにマリーさんを追いかけるつもりのようだ。
「あのサバサバした性格が好きなんじゃ! あの乳は誰にも渡さぬぞっ! おお乳よ! もっと乳を!」
と、
元気があってなによりだ。
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