とある異世界の新聞記事より抜粋

[No.10] 第100回帝国剣術武闘大会・男女混合の部 イザベル・ワーナー 女性として初の優勝

　このたび開催された第100回帝国剣術武闘大会において、帝国竜騎士のイザベル・ワーナー少尉（しょうい）（18）が男女混合の部に出場。女性では史上初となる優勝の座（ざ）に輝（かがや）いた。

　対戦相手はいずれも屈強（くっきょう）な男性であったが、初戦での秒殺劇からはじまり、それ以後もしなやかな身のこなしから繰（く）り出（だ）される斬撃（ざんげき）を武器に勝ち進み、前年度優勝者のハンフリー氏（28・傭兵（ようへい）業）を決勝戦で下（くだ）して華々（はなばな）しい栄冠（えいかん）を勝ち獲（と）った。この部門における帝国軍人の優勝者は五年ぶりとなる。

「我々帝国軍人参加者は不甲斐（ふがい）ない成績続きだった。これで本来あるべき形に戻せただろう。開催100回目の記念大会で、皇帝陛下（こうていへいか）も御観閲（ごかんえつ）になられており、醜態（しゅうたい）をお見せするわけにはいかなかった。陛下に勝利を捧（ささ）げることができたことが何よりも嬉（うれ）しい」

　表彰台（ひょうしょうだい）に立つイザベル少尉は、銀髪（ぎんぱつ）碧眼（へきがん）の凛々（りり）しい相好（そうごう）を終始崩さなかった。初めての女性優勝者であることに対する感想を求められた折（おり）には、「特に感慨（かんがい）はない」とクールに回答している。

　剣術武闘大会は、模擬刀（もぎとう）を使用してはいるが実戦を想定して試合が行われる。相手を殺す以外はなんでもりだ。戦闘不能状態にするか、「参（まい）った」と言わせることで勝敗が決（けっ）する。それゆえ、時として男性参加者は汚い手段で相手の降伏（こうふく）を狙（ねら）うことがあり、混合部門で女性参加者が勝ち上がることの難しかった要因になっていた。

　今大会でも、大三戦目でイザベル少尉の胸部（きょうぶ）アーマーが着衣（ちゃくい）もろとも剥（は）ぎ取（と）られる一場面があった。しかしそれに臆（おく）することなく戦い抜き、対戦相手を血祭りにしている。

　イザベル・ワーナー少尉は、代々（だいだい）帝国軍属の家系である。幼少期から剣技（けんぎ）を学び、現在は弱冠（じゃっかん）18歳にして、帝国竜騎兵団・航空竜騎兵隊に所属、ワイバーンに騎乗（きじょう）する第３飛行隊の隊長の任（にん）に着（つ）いている。スリーサイズの推定（すいてい）は、Ｗ79、Ｂ61、Ｈ80。才色兼備（さいしょくけんび）のエリートである少尉は、老若男女（ろうにゃくなんにょ）問わず人気があり、〝ベルちゃん〟の愛称（あいしょう）で親（した）しまれている。

　今大会を機（き）に、爆発的にファンが増えそうだ。

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