第1話 サクラサク

「ここが、dogmaなのね。兄様、行ってきます。」


私は校門をくぐり、校舎内に入る。


そして、張り出されたクラス発表の紙を見て

指定された教室に入り席に座る。



私は白崎千紗。


今日からこの騎士学校「dogma」に入学する。



私が席に着いてから10分後。


ゾロゾロと他の生徒が集まりだした。



「ねぇ、名前なんて言うの?」


と、前の席の男子生徒が振り返り聞いてきた。



「白崎千紗よ。」


私は素っ気なく答えた。



「おれ、功刀蒼。よろしくね。」


蒼はふわりと微笑みそのまま前を向いてしまった。


きっと、笑顔が張り付いてるタイプだわ。

関わらない方がいい。



と、いつもの分析を終わらせて

私は蒼にはあまり話しかけないことを決めた。



「皆さん、おはよう。」


と教師が入ってきた。



ざわついていたクラスの雰囲気が

一転し、急にクラス中に緊張感が流れ始める。



「うん、結構。」


そう言ってその教師は黒板に名前を書き出す。


まっさらで綺麗な黒板に、

それなりにきれいな字で織坂圭人とかかれた。


「今日から皆さんの担任になります。織坂圭人です。1年間よろしく。」


そう言って織坂はニコリともせずに

椅子に座った。



「それじゃあ出席番号1番から自己紹介して。」


初めの印象が決まる大事な自己紹介ね。


私は立ち上がりなるべく聞き取りやすい声で

キッパリと言った。



「白崎千紗、よろしくお願いします。」



「え?それだけ?」


織坂は呆れた顔でこちらを見てくる。



「なにか?」


少し睨むと織坂はすぐに黙った。



「出席番号2番、音無慧です。」


とその後は皆、各々と自己紹介を進めた。



「はい、それじゃあ皆さんに1つお知らせがあります。」


織坂は立ち上がり私たちにそう告げた。



「キミたちはこの学校の底辺。つまり落ちこぼれです。」


織坂は単調にそしてはっきりと私たちに告げた。



クラスがざわつき始める。


落ちこぼれ?

そんなワード人生で1度も言われたことなかった。



「どういうことですか?」


蒼が立ち上がって質問する。



「どういうことも何も、言葉通りだが?」


「もう少し詳しく説明をお願いします。」


織坂が答えた直後にまた蒼は質問した。


織坂は少し面倒くさそうな顔をして

口を開いた。


「この学校はA~Dクラスに分かれている。

そして、その組み分けは入学前の試験の結果の順位の1位~20位がAクラスと言ったふうに分けられている。つまりDクラスになっている時点で、キミたちは61位~80位の落ちこぼれというわけだ。」


織坂は淡々と話した。



「失礼ですが、それは事実ですか?」


「どういう意味だ、えーと。」


「白崎です。生徒の名前くらい覚えてください。」


生徒の名前すら覚えていない織坂に

少し苛立ちながら言った。



「名前覚えんの苦手なんだよ。そんで白崎さっきの質問だが、事実か?とはどういうことだ?」


と、さっきと同じ質問。



「私は筆記試験は2位だったはずですが。」


私はパソコンで見た筆記試験の結果で確かに2位だった。なのに61位以下とはどういうことか。


「お前、舐めてんのか?」


急に織坂の雰囲気が変わる。


「ここは騎士学校なんだぞ?知識だけじゃない。様々な能力が必要とされる。お前は実技試験なども、合わせて成績上位だと言えるのか?」


と織坂は私の前に来てそう言った。



「っ、、、、。」


それを言われると弱い。

なぜなら私の運動神経はいいほうでは無い。



「他に質問がある生徒はいるか?」


誰も手を挙げなかった。



「居ないみたいだな。それでは各自寮に戻るように、問題を起こして退学などにならないようにな。それでは今日はここまで。」


そう言い、織坂は教室から出ていった。


クラスのみんな、しばらく一言を話せなかった。

それはそうだ。

このエリート学校に入学できただけいいとはいえ

まさかその中で落ちこぼれなどと、

誰も思ってなかったのだろう。私もそうだ。


教室を気まずい沈黙が包んでいた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

騎士養成学校の案内人 小豆 @kragemonokuro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ